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短歌と感想ほかまとめ

log:201812 短歌

食べたくもないのに口に押し込んで蓋をしているこの生きづらさ

壊れても治せばいいと諭されるいっそ不要と言い切ってくれ

ぼろぼろになっているけど目をそらしそれが個性と嘯いている

不良品以外返品交換はしてくれないが捨ててはくれる

縫いつけてしまえばいいよろくなこと溢しやしない薄いくちびる

つながらずどこにも行かず縮こまる(すべて電波のおかげ)おやすみ

単純な脳ではあるが占いにぼろぼろ泣いて生きると思う

もう二度と帰らぬ家と知りながら ああでもだめだ やっぱりすきだ

自己評価できればきっと楽だった何かになりたいばかりのわたし

ひとさまに誇れるものがありますと生まれ変わっても言えるかどうか

どこにも行けないよって誰かが言う自分で言っているかもしれぬ

携帯のブルーライトに照らされるおばけがそこに さみしくないよ

‪すり切れていつかぼろぼろになるだけの生ではないと言わせてほしい‬

ひっそりと息を殺して生きている人の溢れる朝の地下鉄

買いたいと帰りたくない入り混じりくしゃくしゃと揉む洗顔ネット

なんだって欲しいし実はなんだっていらないなのになお行く百均

節制も質素倹約もくそくらえ自棄になれれば手段は問わず

ごくたまに浮かび上がって息をするふとんの国の住人になる

温もった毛布の中に埋もれて冬将軍と演習をする

雪深い山にこもっているという熊の気持ちで今夜は眠る

すみません といつでも言えるようにする生きているだけ幅を取るので

泣くなんてずるいと思うひとのこと責められるほどえらくないのに