0905
ほほえみデート
あの夏を、強く祈ったあの夏を、おそらくきみは忘れたろうね
特別と呼んでたかった 一番になれないふたりであったばかりに
ぬるまったビールはいつかとおんなじで、だから嫌いだ、なんて感傷
捨ててればいいのにどうせ残してる、なんてお前を定義したって
訳もなく手は繋が(げ)ない ぼくたちは正しい答えをもう知っている
0910
Snow Man 深澤辰哉
anan No.2363
しんとした床へ打ち捨てられようと花卉はひらいた 枯れてやるかよ
前髪は伸びるし腹が減りもするこちとら生憎人間なので
こういうのお好きでしょうと眼差しが身ごろを伝う指先が言う
忠告はチェックメイトの駒音にまぎれて消える じゃあね、おやすみ
賽は投げられた、勝負の行く末は神じゃなくって俺が決めるよ
0920
かみさまがだいじにだいじに描いたのね(上の句)
かみさまがだいじにだいじに描いたのね睫毛の先まで光ってみえる
かみさまがだいじにだいじに描いたのねあんまりきれいでもうさわれない
0924
「あなたはスーパースターで私の世界の一等星であり、手の届かないあなたを双眼鏡で追いかけては新たな“好き”を見つけてしまう私は、きっと天文学者になれるね」みたいな短歌
新しい名前をつける ぼくだけの、きみにしかない色やかたちに
0927
お題:いわふか
さよならはずっとしないでいる、きっと 予感ってより強く思った
言わなくていい(けどたまには泣いとけば)あとの部分はいつも省略
同じほう向いて視線は合わないの、そのくせ全部知ってるふたり
もうちょっと気付かなかったふりしてよ 痛いところを隠せもしない
万が一(なんてないけど、一応ね)だめんなったらあとはよろしく