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短歌と感想ほかまとめ

log:202204 短歌

0402 ADAM at ライブ
日の光 地上に地獄があったって浮き立つ今も嘘じゃなくって
この春を残さず食べるカクテルに沈む桜の味を覚える
駅までをライブアレンジなぞりつつ好きのかたちを無数に増やす




0412
いつまでも泣いていようね傷んでるいちごを大きな鍋で煮詰める
ぐちゃぐちゃになってるきみと手をつなぐアイスは溶けきる前が食べごろ

ぜったいに勝てない人がそばにいるあなたを好きになりたくなかった
永遠にあの子の代わりはいないけどさみしい気持ちはきみにもらった



0413 題:頬または夏
かんたんに痩せてくきみの頬骨がそこにあるのを改めて見る
前髪や睫毛の影は濃く落ちて困ったようにあなたは笑う
ぎこちなく頬に冷たい手が触れる他のひとにもこうしましたか



0415
街灯は正しくともる 手のなかの、自分のものにはできないことば
その指を静かな声を伏せられた瞳をいつか忘れたとして
まっさらな服を体になじませてようやく春を好きになってく
吐き出した息は乱れてかみさまも生きてる人とはじめてわかる
やさしさにかたちがあれば深々と降らすあなたを眺めて過ごす
大切の意味を覚える きみんちはどの部屋だって日あたりがいい
棘のある花にさわった手のひらに傷が増えても構わなかった
頬に降る雪の重みを受けながらステージで見た光を思う

短歌(自分自身の心情や記憶を詠んだもの)
アイドル短歌(ファンとしての心情や記憶を詠んだもの)
アイドル短歌の(自分の視点でアイドルについて詠んだもの)
短歌(架空の誰かを想像して詠んだもの)
アイドル短歌(アイドル自身のつもりで詠んだもの)





0416
とげとげの言葉を浴びていつもより多めの泡で体を洗う



0417 題:焦燥感
こんなにも日向があふれている午後にふたりぐみってことばがこわい
振り向くと誰もいません 遠くから聞こえる声は高く弾んで
夢だって思ったところで醒めなくてえんえん自分を繰り返してく

題:担降り
さよならは口にしたっけいちばんに名前を出さなくなったそのひと
手のひらの厚みも声も好きだった大切だったうそじゃなかった
いつまでもしあわせでいてぐらついてそれでも舞台を降りないでいて



0419
眠り姫、怖い夢なら呼んでくれぼくがきれいに平らげたげる
おそろいのあかいほっぺでごきげんにうたってさしあげましょう、あねうえ
眠り姫、早く起きてよ冒険へ一緒に行くって約束だろう



0425 題:郵便(物)
空箱にしまった手紙は折り目からもろく崩れて膝上に降る
きみのことぜんぶ知りたくなっちゃって手書きの文字も食べてしまった
いい加減消えちゃおっかな封筒に書かれた名前を細切れにする