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短歌と感想ほかまとめ

log:202212 短歌

1204 12月コミュニティ題詠:紅または白
コンビニで売られ始めた白湯のこと、もしくはたまに撫でてく小指
紅白のどっちがいいと聞いたのに放っておかれたままの饅頭
好物はあとに残す派 紅生姜よけてるきみは嘘をついてる
白玉粉練っていながら耳朶のやわさはどこかおぼろげだった
コーヒーが好きになったの、冷めていく紅茶を前に言いそびれてる



1207 12月コミュニティ題詠「紅」または「白」
恥じらいも怒りも頬の紅潮にいずれ行き着く 少し黙って
スイッチがなくて止めかたわかんない手探りしてる真っ白な皮膚
泣き出したきみは壊れたお人形 電池を換えても直らなかった



1209
事故です、と言えばキスでも以上でも誰にも咎められない不幸
ぼくにだけ聞こえる声を出すきみを(見られたくない/見せびらかしたい)
よろしくはなかった距離でお利口にしてる相手を眺めあってた



1211
近づいてきたのはそっちだったのに当たる睫毛をくすぐったがる
鼻筋が通ってるのも不便ねとおどけて深く傾けた首
ぐっぱーじゃす別れるために振った手は何度も同じかたちに揃う



1216 フルコース
食べられるために咲く花いやんなるくらい昨夜のことばっかりだ
濃い色のスープが何を煮立たせたものか可愛いきみは知らない
骨のない魚をうすく切り愛は 自分で拾えもしないカトラリー
心臓の裏側に歯を立てている(いちばんおいしいとこはここだよ)
焦がされた林檎のかたい表面が剥がれる音に欲情してる
コーヒーの豆を変えたい おざなりに折り重なっていた体たち



1218
給湯をつけ忘れてる自分のじゃなくなっていく手のひらを揉む
一日中外に出してたTシャツもわたしもどうにもなんないままだ
壁際に低く差し込む日の光 舞ってる塵を嫌いたくない


1222
皆様もお気をつけて、の声を聞く2分遅れのJR線
洞穴にうすい日差しが見えている どうにか今日をやりすごしてく