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短歌と感想ほかまとめ

log:202208 短歌

0801
あの人にもらった傷をなぞってく消えちゃう前にもいちど深く
心臓につながることを話しつつ薬指へとすべらすナイフ
今まででいちばんきれいに巻きつけた絆創膏にきみはふれない

憎んでるわけじゃないけどちょっとだけ不幸せならいいと思った。ちょっとだけ。棘が刺さって抜けなくて、痛みがあなたのそばにあるなら。その傷にぼくの姿を紐づけるなら。いいこになんてなれなくていい。


‪0818 8月コミュニティ題詠「海」‬
‪おそれるな海は大きな容れものできみが泣いてもびくともしない‬
‪海のない街に暮らして塩からい水の例には涙があがる‬
‪生ぬるい波へ素足をつけてみる さらっていってくれないか、海‬


‪0820 8月コミュニティ題詠「液体」‬
血と肉を与えられてもあなただけ愛せなかった欠陥品は
潔癖の範囲をぼくは見失うきれいにしたくて舐めとる唾液
人体の半分以上は水分で出来てるくせに透きとおれない