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短歌と感想ほかまとめ

storyteller(物語ベースの相互題詠)のこと

2024年2月に、遊佐さんと「storyteller」=物語ベースの相互題詠をしました。
その記録及び自作解説をしたいと思います。

はじめに、これは今回の記事に限ったことではありませんが、解説とは言いつつも、そう読まなければいけないという訳ではありません。もちろん、違った解釈をしたらだめということは決してありません。わたしの短歌やブログを読んでくださる方には、自由に楽しんでいただければと思います。



1) はじめに storytellerって?

ふっと思い立ってしたこんなポストが始まりでした。


もしこれをどなたかと出来るなら、ということで、考えてみたルールがこちら↓
<ルール>
・1ポスト(140字)程度の設定を作る
・設定の形式は自由。箇条書きでも短文でも
・作った設定を相手に渡す
・もらった設定から連作を作る
・連作のボリュームは5〜10首の間なら自由

遊佐さんが一緒に遊んでくださることになり、相談の上、上記ルールでやってみることに。
それぞれが考えた設定と、それに沿って作った作品は下記のとおりです。

2)設定を作る 作成:遊佐さん

・性別はなんでも
・高嶺の花と道端の雑草
・二人の接点は同じクラスであることだけ
・雑草は花のことをこの世のなによりも美しいと思っている
・逆に、友達のいない花にとって、たくさんの人と仲のいい雑草は憧れの存在
・ある日、二人は行きの電車が同じことを知り、それをきっかけに距離を詰めていく--……

3)設定を作る 作成:しま

・特別にはなれないとわかっている話
・AとBは恋人同士だが、Aには別の相方(親友・バディ・シンメ等)Cがいる
・AとCは決して恋愛関係にはならないが、AにとってCはずっと、他の人とは違う特別な存在
・ただAにはその自覚があまりない(当然と思っている)
・ということをBは最初から知っている

4)遊佐さんの設定から連作を作る 作成:しま



たんぽぽの明るい黄色はどこででも軽やかに揺れひどくまぶしい

木蓮 頬にうっすら朝がふる美しいってこういうことだ

「高嶺の花」の子を白木蓮にするのはすっと決まった。花言葉も調べて、結構よさそうだなということでそのまま採用。
「雑草」の子を、雑草とはいえかわいい花にしたいな…と思って浮かんだのがたんぽぽだった。ハルジオンもちらっと思ったのだけど、花言葉がしっくり来なかったので没。
車内でも教室でもどこでも目に入る、明るい女の子と、立ち姿と横顔の美しい静かな女の子のイメージ。

教科書に載っていた詩を思い出す貴方の声はひばりのおしやべり

いつだって凭れずにいる隣にはぽつんとひとつ空席がある

話し声をうるさく思うのではなく、明るくて楽しそうでいいなと感じていることを表現したかった。「ひばりのおしやべり」は山村暮鳥「風景 純銀もざいく」から。
木蓮の子は周りからちょっと話しかけにくい孤高な存在と思われている。とはいえ本人は普通にしているだけ。でも周りの雰囲気は分かっているから、無理に群れることもしない。それを見ているたんぽぽの子は、でもちょっとさみしいんじゃないかな?いつか話してみたいなあと思っている。

繰り返し頭のなかで呼んでいた名字がわたしのくちびるに、いま

朝礼の点呼も絶対かなわない声量だった あなたがわらう

お互い相手のことが気にはなっていて、でも行動に移すのは木蓮の子が少し早かった。頑張って声をかけたのだと思う。声がうわずったりひっくり返ったりしないように気をつけながら。
そのことがうれしくて、びっくりして、思わずものすごく大きな声で返事をしてしまうたんぽぽの子、というイメージでした。朝礼の点呼、ある程度は先生に聞こえるように声を出すと思うけど、そんなの比べものにならないくらいの大音量。

はじめてのおそろいかもってこっそりと言われて撫でる遅延証

8時5分6両4ドア待ち合わせ、の前にささっと直す前髪

電車のなかでの出来事をいくつか。電車が遅れて嫌だけど、一緒にいるから楽しいし、(遅延証明とはいえ)おそろいができたことも相手もそれを喜んでくれているだろうこともうれしい。
親しくはなってきたけどまだ少しよそゆきなかんじ、で「ささっと直す前髪」にしました。あと、なんとなく都内の地下鉄イメージだったので「6両」くらいかな?とこの位置にしてみた。この辺はフィーリングです。

ずる休みじゃなくてもっといい名前つけたいねってふたり一緒に

お休みの連絡はせず海に出て(次は終点)ともだちになる

ふたりが普段使っている電車は、最終的には海の方までつながっているイメージ。ある程度仲良くなったある日ふっと、学校をサボって終点まで乗って行く。
「ずる休み」には違いないんですが、ふたりにとってはもっといいもので、かつ特別なものでもあるので、何かいい呼び名を考えつつ電車に揺られている。
多分タイプも違うし一緒にいて何で?と言われるふたりなのだけど、お互いしっくり気が合って、この後一生の友達になる、そんなイメージでした。

5)しまの設定から連作を作る 作成:遊佐さん


6)まとめ

物語ベースの相互題詠、考えていくのが難しくもありましたが、とっても楽しかったです! 設定をもらうのも考えるのも、そこから作るのも面白い。かなり創作寄りになるので、普段短歌・アイドル短歌を詠むのとはまた違った感覚がありました。
もしご自分でもやってみたい! と思われた方がいらっしゃいましたら、下記のポストなどをご利用いただければと思います。



何かあればしま個人のDMもしくはお題箱まで。
odaibako.net