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短歌と感想ほかまとめ

log:202205 短歌

0504 コミュニティ5月題詠:嘘
痛いとこなんかないって微笑んであなたはやさしい嘘ばかりつく
正しさで出来てるきみに抱かれたいこれも嘘っていうことにして
ほんとうはいたかったって聞いてみる そうかもねって嘘つきは言う


0505
好きなひと呼ぶと案外生きられるおまじないって片目をつむる
人をだめにするクッションがくたびれたときはなるべくやさしく撫でる
はぐれないようにあなたと手をつなぐ右と左と順番に行く

植物とおんなじようにふれてみる ぜんぜん平気みたいで困る
ふたりならだめにもなれる深夜二時 塩ラーメンにたまごを落とす
本当のことばかり言うやつといて信じかけてる自分がこわい


0506
あたりまえに生きてくらしい人たちの爪は正しい色をしている
みんなって呼ばれる中にいつもいた人の傷んだことのない髪

まっとうなふりばかりする頭から毛布をかぶって消えたいくせに


0508
桜には毒がないから頭まで埋もれたって死にはしないよ


0509
手のひらを合わせて瞳を伏せずとも祈りになるときみに教わる

コミュニティ5月題詠:風
一晩でしぼんでしまう風船としたって愛されたくて生まれた
風邪薬飲めば治るよ熱っぽい瞳もやけに熱かった手も
傷ついた風に見せてるだけだって笑ってみせるあなたが憎い


0514
浴びてきた音と西陽がこぼれてく何てことない言葉になって


0523
きみ曰く噛みついたっていう事象ぼくなら違う名前をつける
喉元にふれてもきみは怒らない煮詰めたジャムのにおいがしてる
きみのこと見ようとすると映り込む自分が邪魔でまぶたを伏せる