0707
息を吸うキスはしたことないと言う誰かを惑わす手段はわかる
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くるまった真綿は君のかぶってたベールと同じかいっそう白い
0708
誠実とまさか自分じゃ言えないがせいぜい爪は短く保つ
0709
唇にふれてもきみの体温はぼくより低く保たれている
0710
嘘をつくときの心拍すきだってあなたに告げたときと重なる
0713
まなじりにほんとの熱がちらついて息ができなくなってほしいよ
0714
唇の甘さはいつも塗っているリップの味で本物じゃない
0716
いまひとつ盛り上がらないキスをして三割引きの弁当を買う
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連作「唇は嘘をつく」
嘘をつくときの心拍すきだってあなたに告げたときと重なる
口づけはこれがはじめて 指先で肌をかすめる種類のものは
くちびるに触れてもきみの体温はぼくより低く保たれている
まなじりにほんとの熱がちらついて息ができなくなってほしいよ
いまひとつ盛り上がらないキスをして三割引きの弁当を買う
ばいばいの声を聞かずにすむように互いの口を軽く合わせた
嘘なんてついていません黙ってることがあるのも誓って本当
0717 7月コミュニティ題詠「花火」
歩道橋のぼって遠くのビル越しに大きく欠けた花火を見てる
これまででいちばん大きく美しい花火がぼくらの終わりの合図
息絶えた手持ち花火の声がするバケツの水はくろぐろとして
0719 7月コミュニティ題詠「熱」
何だっていいからだめになってくれ撫でてたはずの肌は爛れる
平熱がぼくより低い人といてどっちがどっちか見失いたい
こんな顔見ないでなんてぐずってる声に絡めた舌はとろけて
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1500Wで2分半きみにかける言葉を探しきれない
0724 7月コミュニティ題詠「熱」
傾けた首の角度がもつ意味を知っているならぼくに教えて
指の背で撫でてく頬が熱いのは夏だからってだけじゃなかった
伏せられた瞼に淡く歯を立てるきみにだったら暴かれていい