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短歌と感想ほかまとめ

ネットプリント「そのひと」のこと

2023年5月7日に、ネットプリント「そのひと」を発行しました。
今回、そのPDF版を公開します。

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「そのひと」は、2020〜2023年春までに作っていたあるひとについてのアイドル短歌をまとめたものでした。
あるひと、もう少し明確に言うと、わたしが自担と呼ぶひと。
振り返ってみると、これまでにいくつもいくつも、彼についての短歌を作っていました。
完全に自己満足だとは分かっていて、ただ一度だけでも、そのひとに関する短歌をまとめて、紙のかたちにしてみたかった。

短歌連作5篇・計31首を収録した小冊子形式。
この数にも意味があって、5というのはそのひとのお誕生日に、31というのは年齢にちなんだものでした。またどちらも、短歌の音数とも繋がっている。
発行日も、自分では意識していなかったのですが(そのひとのお誕生日後にしよう、くらいの意識だった)、後から「短歌の日」だったことがわかりました。
このあたりは完全にわたしの無計画っぷりが出ていますが、結果よかったかなと思っています。

計31首のうち1首のみ書きおろし、残り30首はすべてTwitter上で発表済のもの。
書きおろしの短歌は、表紙にある1首「真夜中は明けてくためにあるらしい溶け出す色をきみだと思う」。
この短歌をそのままタイトルにしようかとも考えていたのですが、いかんせん長いことと、わたしは自担のことを「そのひと」と表現することも多いので、そちらをとって、結局見送りました。
ただ、そういった経緯もあって表紙に残しています。全体を貫くもの、テーマのようにもなるかな、と思って。

連作5篇はそれぞれ「そのひと」「それは八月」「花の名は知らない」「祝福」「瞬いたのは、」というタイトル。
これは、1篇ずつテーマを立ててまとめていて、全部通して読んだときに、わたしの中にあるそのひとの像が立ち上がるようにしたい、と思っていたものでした。

以下、簡単ではありますがその内容について書いてみます。
ただ基本的に、自分の作る短歌/アイドル短歌は、作歌時に考えていたこと・イメージしていたものがあっても、そう読まなければだめだということはまったくない(=自由に感じ取っていただければいい)と考えています。
そのため、下記については、イメージが狭まりそうで嫌であれば読まなくて大丈夫ですし、読んでもまあ、そうなんだくらいで捉えてもらえたらと思います。


「そのひと」6首
わたしから見た自担のこと。そのひとへの感情、思い、にまつわる短歌をまとめています。
正直なところ、1首ずつすべて背景や意図を説明するにも、自分の中でまだ言語化できていないところも多いのですが(自担と呼ぶようになって数年経ってなお)、折々に思い出してきた短歌を並べました。

「それは八月」3首
そのひとの入所日にあてた短歌を集めたもの。
2020〜2022年で繋がるように、統一感が出るように、と考えて作っていました。
「ひかり」という語を使うのをなるべく避けようと普段は思っているのですが、この一連の短歌についてはすべて含めています。
8月上旬、光が強い時期に、今の仕事を選んだひとにあてた短歌として、入れる意味があると考えていました。

「花の名は知らない」3首
草花の語が入っている短歌で揃えてあります。また、3首すべて、そのひと掲載の雑誌記事から着想して作ったものでもありました。
そのひとの持つ空気感の、やわらかでしんとしているところが好きです。ふざけてみせることも、楽しく笑っているときだってもちろんあるけれど、ふとしたときに見せる表情、まとう雰囲気は、意外なほど静かに感じられる。そういったことを詠めていればいいな、と思います。

「祝福」3首
そのひとの視点として作った短歌。本当には彼が何を感じているか、考えているか、など分かるはずもありませんが、彼から受ける印象を集め、魅力を感じる部分をよくよく自分の中で巡らせて、言葉にしていったものでした。
ここにおいた3首は、そのひとのことを詠んだものの中でも、特に自分にとっては印象深く大切に思っていて、はじめのうちから必ず入れようと決めていました。

「瞬いたのは、」15首
わたしがそのひとを知ったのは2019年の春でした。そこから自担と呼ぶようになって、彼にあてた短歌を作るようになって、数年経ちます。
ここに並べた短歌のひとつひとつ、おおよそ2019〜2023年の時系列となっています。作ったタイミングがずれているものもありますが、詠んでいる内容はおおよそ。そのため最後3首は本当に、この春詠んだばかりのものが並ぶことになりました。
わたしが見てきた範囲だけにはなりますが、そのひとの姿を追っていくような連作を、この冊子の最後におきました。


「そのひと」収録短歌 初出一覧
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