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短歌と感想ほかまとめ

2021年 短歌・アイドル短歌振り返り

#自選10短歌集2021に参加しました。

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自分の作ったものを読み返す、とてもいい機会になりました。
また、いろいろなかたの作品にもふれることが出来て、普段なかなか幅広く読めないでいる人間としては、本当にありがたいなあと思っています。
以下、簡単ではありますが作ったものの振り返りです。



◆全般
まず、2021年に作った数は、短歌319/アイドル短歌159(ちなみに2020年は短歌248/アイドル短歌388)。この中から短歌4首、アイドル短歌6首を選んで提出しています。並びはアイドル短歌→短歌の順で交互に。
ツイートでは5首ずつと書いてしまったんですが、実際には最後だけアイドル短歌が連続しています。あとから気付いたあたり本当につめが甘い。

そもそも、#自選10短歌集2021に参加しようと思った決め手は、短歌・アイドル短歌どちらも出せる、というところだったと思います。これがアイドル短歌だけだったら参加していなかったかもしれない。
わたしは、短歌・アイドル短歌を完全に切り離さないというか、どちらでも読めるもの、たとえアイドル短歌として作っても、それ単体で意味が取れるもの、をなるべくなら作りたいと思っています(このあたりのさじ加減はまだまだ模索中ではありますが……)。
2021年は特にそれを意識しながら作ってきたので、1年間のまとめとして、完全に短歌・アイドル短歌を混ぜた自選を作ってみたかった。そのため、短歌・アイドル短歌を交互に並べる構成にすることは、参加を決めた当初からずっと考えていました。

10首の並びはシンプルに、ほぼ時系列(発表した順)です。一部言葉の並びなどを考慮して入れ替えたところはありますが、並べてみたら案外収まりがよかったので、基本的にはそのまま行くことにしました。
また、2021年はとにかく、コンサートや舞台の延期・中止が多く、そのことに怒ったり悲しんだりが長く続いた年でもありました。それに関連した短歌も多く作っていたため、10首並べてみたときに、どちらかといえば暗めのところから徐々に明るい方向へ行くような順番にしたいな、とも考えていました。



◆振り返り
01 やわらかにかたちを変えても魂はなびかないから好きにしていい

・アイドル短歌/Snow Man 深澤辰哉さん(anan No.2230 「滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie」の軌跡 #09 洒脱)
・洒脱がすごかった、というそれに尽きる。上記の雑誌記事、バックナンバーとかあるのかなあ。もしよければ見てみてください。とても素敵なので…
・彼に惹かれる部分をどうにかこうにか言語化したくて、そのときできる限りを詰め込んだ思い出。あんまりやりすぎると二次創作になるし、でもそもそもアイドル短歌自体二次創作のようなところはあるし…と考えつつ、どうしても作りたかった
・連作としてはほとんど写真から描写していくつくりでしたが、この短歌は彼全体のイメージもかなり濃く重ね合わせて作ったかなと思っています。そのため個人的な思い入れが強い短歌。

(元の短歌)
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02 息の根を止める手つきはこんなふう Ctrl+Alt+Del

・おそらく仕事が切羽詰まっていたのでは、と今になると思う。リモート接続すると本当にパソコンの動作が鈍い
・Ctrl+Alt+Del、77には収まるからいいか、と考えていた覚えがある(一応数えた)たまにこんなかんじのを作ると楽しい
・生活の中にある単語や動作をそのまま組み込んで作るのが好きなのだと思う



03 永遠と口に出すとき頼りないその音節を愛してしまう

・アイドル短歌/Snow Man「縁」
・あの曲とMVがとてもとても好きだったので、ほとんど衝動的に作ったもの。まだ映画を観ていない段階で作ったのだけれど、あとから映画を観て、わりとしっくり来るものになったかなと思えて個人的にはうれしかった
・口にしたとき引っ掛かりがなく読めるものを、ということは短歌を作るときによく考えていて、これはその点とても気に入っている

(元の短歌)
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04 間違ってばかりのぼくに降り落ちるミモザのいかにも正しい黄色

・春に作ったもの。本当に天気のいい日で、ミモザがよく咲いていた。季節の中では春がいちばん苦手
ミモザは好きな花でもあるけれど、あまりにも黄色が鮮やかで美しく、そうはなれない、ともたまに思ってしまう
・これはアイドル短歌ではないけれど、アイドルを考えるとき、その人のメンバーカラーというものは結構イメージに影響するなあと思っている。メンカラ黄色の人はわたしにとって正義というか正論の人。本人にきちんとした強さがあるために正しいことを迷わず伝えてくる、もちろんそのこと自体は間違っていないのだけれど
・正しい/正しくない、というテーマ?話?は短歌に限らずよく持ち出してしまう。つくづく好きなのだと思う



05 たまらずに笑いくずれる一瞬をいつまでだってこの腕に抱く

・アイドル短歌/Snow Man 深澤辰哉さん(お誕生日)
・彼に限らずではありますが、お誕生日のFC動画が大好き。見ると毎回たくさん笑って、最後になぜか泣けてくる。
・大きく口を開けて、少し上向くようにして笑うかんじ、いつまでもそのまま穏やかにいてほしいなあと思う
・お誕生日の短歌は、1首目が名字の1文字目から、2首目がお名前を入れて、3首目が下の名前の1文字目から、それぞれ作っています。これは3首目でした

(元の短歌)
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06 定時すぎ幕は上がっていることを思い描いて背筋を伸ばす

滝沢歌舞伎新橋演舞場公演)開始あたりで作っていたもの
・コンサートや舞台など、定時すぎに開演時間が当たることが多々ある。同じ時間に、まったく違う場所ではあるけれど、懸命に過ごしているひとのことを思うと、ぐっと背骨に力が入る
・このあたりからコンサートや舞台の延期、中止が続き、かなり苦しかった……自分で作ったものなのであれですけど、一年通してこの短歌のことは思い返していたように思います。作れてよかったなあと強く思う



07 掃いて捨てられるものだと知っていて拾い集める花びらがある

・アイドル短歌/Snow Man 深澤辰哉さん(週刊TVガイド4/9号)
・雑誌撮影の裏話がとてもすてきだったので。桜の花びらを撮影で使って、その撮影が終わったあとも残り、ひとり遊びをしていた、というもの。その光景がぱっと浮かんだので短歌にしてみたくなった。短歌とアイドル短歌、どちらにもとれるバランスではあるかなと思って気に入っている
・動詞ばっかりだな…とは思いつつ、どうしても思い浮かんだ情景を描きたくてそのままにした



08 傘越しに見上げた雨は明るくてこれならきっとすぐにやむだろう

・秋、Snow Manのライブがあったときの情景。描写は基本的にそのまま、駅を出て、あがりかけの雨と、その先の空を見たところ
・雨にはかなり苦手意識があるけれど、雲が段々薄くなっていく、あの瞬間は光を強く感じられていい
・元は「たにゆめ杯」に参加したとき作ったもので、そのときの連作もかなりコンサートや舞台のことを考えてテーマとしていた。そのためこちらの連作と通じるところが結構あるとは思う

(元の短歌)
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09 どこまでを許すか決めて ワイシャツのボタンは全部外せてしまう

・アイドル短歌/Snow Man 深澤辰哉さん(anan No.2268 「会話の先導者」)
・01「やわらかに〜」を作ってから1年くらい経って、今の自分だとどんな表現になるかなあと考えて「どこまでを〜」に行き着いたところもあると思う
・2首に共通するのは、本当には何も許されていないところなのかな、と今見ると思う。好きにする/しない、許す/許さない、どちらも本人が決めることであって、他者には何も決定権がない。ただそれをおおっぴらには見せない、感じさせない
・なんでも受け入れてしまうひとで、許してしまうひとで、そのことに伴う痛みも(あるはずなのに)ほとんど見せないひとで、でもそれは、そうすることを本人が決めている、誰に強要されているわけでもない、ただやさしいのではなくて同じくらい頑なで強かでもある、ということを書きたかったのだと思う

(元の短歌)
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10 またねって見えなくなるまで手を振って別れることは祈りに近い

・アイドル短歌/Snow Man
・ツアー完走おめでとうの気持ちを込めたもの。シンプルではあるけれど作れてうれしかった
・ライブや舞台のカーテンコールで長く長く手を振ること、親しいひとと別れるときに必ず「またね」と口にすること、どちらにも通じるものとして作れたかなと思っている。その点アイドル短歌として作りはしたけれど、普通の短歌のような意識もかなりあった

(元の短歌)
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