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短歌と感想ほかまとめ

2023年 短歌・アイドル短歌振り返り

#自選10短歌集2023 に参加しました。


フォント・文字色はどちらもお任せにしています。文字色の「バーントシェンナ」は「焦がれてる色なイメージ」とのことで、昨年までとはまた違った面にフォーカスしていただいたように感じてうれしかった。主催の鷹野さん、本当にありがとうございました!

皆さんの短歌についてはこれからゆっくり読んでいきたいと思います。ゆるっと感想も書いていくつもり。そのときはまた別にブログ記事を立てます。
この記事では自選10首についての振り返りをしていきます。ただこれはあくまで記録なので、そう読まなければいけないということはまったくありません。そうなんだ、くらいで見ていただければと思います。


- 全般

まず、2023年に詠んだ数は、短歌 344首/アイドル短歌 288首でした(参考:2022年は短歌308首/アイドル短歌298首)。
2022年から大きな変動もなく作り続けられただけで、まずはよかったと思います。実をいうと、7〜8月あたり、特に滅入っていたときは本当に何も浮かばなくて、どうしようかと思っていました。

今回は、短歌・アイドル短歌の区別や首数のバランスには特にこだわりませんでした。
自選する上では、企画で作ったものや、ネットプリントに収録したものなどから、なるべく幅広く抜き出すことを意識しました。これには大きく分けてふたつ理由があります。
ひとつめは、昨年の自選にそういった短歌を含めず、後悔したため。
ふたつめは、一年を通して、様々な企画に参加したり、いちごつみや相互題詠などで遊んでいただいたりする機会に恵まれたためです。
結果、自選しながらもいろいろなことを思い出しては楽しいきもちになりましたし、とてもありがたい機会をたくさんいただけて本当によかった、と改めて実感しました。
一年間の総まとめのような意識で選んだこともあり、並びは基本的に時系列としています。

- 自選10首

- 01 インスタは絶えず光ってちょっとだけ好きってやつを信じたくなる

・2023年5月
・アイドル短歌(Snow Man 深澤辰哉さん お誕生日インスタライブ)
・インライの雰囲気であるとか、深澤さん自身のふんわりした空気を出したかった
・深澤さん、無意識に自分なんてと思っているところがありそうと(勝手に)感じていて そういう人がたくさんお祝いされること 好きと言われること をそのまま受け止めてくれたならいいな という思いも込めてます

(元)


- 02 食べれない分は包むし持ってって 胸のあたりがまだあったかい

・2023年1月
・アイドル短歌(Snow Man 向井康二さん インスタライブ)
・元の連作は、ラウールくんのインライ・康二くんのインライふたつを織り交ぜて構成していました
・ラウールくんもですが、康二くんのインライ、やわらかくやさしい雰囲気だったなあと思って。インライのタイトル?が「語ロース」だったことから、分けてもらうごはん、持って帰りなって言ってくれるひとのやさしさ、を連想したところから作りました

(元)


- 03 逃避行するって聞いていいよって答えてもらうまでの永遠

・2023年2月
・好きなモチーフから作った連作から1首を引きました
・同じ連作の中の「朝ごはん何が食べたい〜」とも悩んだのですが、やっぱり「逃避行」が入っているこちらの方がよりテーマに近いかな、と思って採用しました

(元)


- 04 手や足にいくらも傷はついていておそらくこれは原石だって

・2023年4月
・アイドル短歌
・ひびの祈りさんとの共同ネプリ「寸前の青」より
・アイドル短歌のみ、「あるボーイズグループのデビューまでを追う」といった設定も一緒に作り、たくさん相談しながら進めたネプリでした
・どなたかと一緒に作る、ということも含めて本当にいい経験になったなあ、と思いつつ入れています



- 05 折りたたみ傘もいつかのヤマザキの皿もわたしも急に壊れる

・2023年9月
・ネプリにもした連作「ある故障」へ収録。元は別の3首連作としていました
・「ある故障」のなかでもいちばんテーマに近しいものな気がして、この短歌を引きました。かなり個人的ではありますが、この夏の出来事の総括でもあります

(元)


- 06 しんとした床へ打ち捨てられようと花卉はひらいた 枯れてやるかよ

・2023年9月
・アイドル短歌(Snow Man 深澤辰哉さん anan No.2363)
・本当に、この誌面の最初のページ、お写真がすばらしくって…少しでもその感覚を表したくて、苦戦しながら作った短歌でした
・この1首は、自選の1首目に持ってこようかギリギリまで悩んでいました。最終的にはより明るい、希望のようなものを感じるものを1首目に置いています

(元)


- 07 現実はもっと無様でコンビニのバウムクーヘン買って帰った

・2023年10月
・癖短歌より、遊佐さんの癖をお借りして作ったもの。バウムクーヘンエンド。ぎりぎりこの1首で意味が通じる……と思いたい
・癖短歌もいろんなかたに遊んでいただけてうれしかった! そのため自選にも入れました

(元)


- 08 きみの見る車のナンバープレートが8のゾロ目でありますように

・2023年10月
・アイドル短歌(関ジャニ∞ 丸山隆平さん WEB日記)
・元はWEB日記から着想したものですが、全般的に、丸山さんやアイドルに向ける祈りのかたちになったな、と思っています。そのためお誕生日の短歌やネプリにも収録しました
・2023年はエイトや丸山さんのことを改めてよく考えた年でもあって、なのでこの短歌も必ず入れたいと考えていました

(元)


- 09 輝けない星へ毛布を シャッターが上がるときまでそばにはいたい

・2023年11月
・綴さんとの相互題詠「街」より。この1首は連作を作るときにもキーにしていて、かなり思い入れがありました
・また、自選10首の終盤に入れることで、ひとつの連作として考えたとき、全体の雰囲気がより明るい方へ向かうといいな、と思っていました。そのため並びは時系列に沿って変えず、このままここに置いています

(元)


- 10 とびきりの僕であなたに会いたくてやわく毛先を遊ばせてみる

・2023年12月
・アイドル短歌
・ゆっくり大切に進めているいちごつみから
・これだけ未発表。ゆるやかにつながっていること、短歌で一緒に遊んでもらえることのありがたさ、を考えつつ、締めくくりとしてここに置きました


以上、簡単ですが自選10首の振り返りでした。
ご感想や、この短歌が好きなどあればぜひお題箱まで↓

log:202312 短歌

1202
toconoma「Second Lover」

ぺたんこの靴をかわりに履いていく今夜はどこも痛くならない
生野菜だめなんだっけ(違うっけ)だめだったのはわたしだったね
ここからはさわっていい、ってサンプルはきみじゃないけど多分合ってる



1203
音楽と思った、きみが喋るのを、服がこすれるかすかな揺れを
「指先を動かすの癖?」「え、なんで」「いややっぱいい、そんままでいて」
クロッキー用紙もやわい鉛筆も減りがはやくて お前のせいだ



1205
自己紹介短歌(新)

いつまでも夜ふけに住んであいさつはおやすみなさい一択でいい
ぐしゃぐしゃに崩れてくってわかってて変なとこから取ってくジェンガ
がんばって平気になんなくっていい たぬきのおなかを抱きしめている
石橋は叩いて割ってがらくたのパズルをえいえんえんえんと解く



1208
生産性 日に数十のデコレーションシールを貼ってすぐ剥がせます
怖いものなんかないって言う代わりきらきらさせる硬質ケース
はみ出したシールを鋏で丁寧に落とした、せめて、せめてきれいに
ここからは聞いてなかったことにして眠っちゃうまで光っていてよ



1210
アイロンのいらない服を身にまとうわたしを強く抱きしめてみる


1212
横顔がいちばんきれいに見えるって知っているのは僕の特権
キスしてとねだる角度はこんくらい しょうもないことばかり得意で
尖らせた唇だってかわいいよ、なんて物好きお前だけだろう



1215
方言短歌

あんひとに嫌われとっとにかわいいと思ってしもうたいっちょん好かん
きみからの手紙は箱のきれかとにそっとなおした、青の深かと
すぐ来っけん、ここにおって、て言うとったことばずーっと覚えとっとさ

あのひとのだいっきらいって言い方をかわいいなんてうっかり思う
きみからの手紙はいっとう深い青、きれいな箱の奥へとしまう
待ってて、の言葉に僕は縛られてどこにも行けなくたってよかった

おもっきし大っ嫌いって言ってくるとこすらかわいく思える末期
青い箱、手持ちでいちばんきれいなの、見つけてきみの手紙を入れた
頼んだのそっちでしょうよ当たり前みたいな顔でずっと待ってる





1219
幸福でありますように冷えきったシュトーレンにはうすい切り傷


1222
いちごつみ(先手:遊佐さん)
【1】赤ちゃんが人差し指を握るみたいに甘えてくれてもいいのよ?
【2】キスをする雰囲気すらも掴めないぼくらの恋は依然赤ちゃん(赤ちゃん)
【3】口紅はキスの後にも直すってあの子が言った 踵をあげる(キス)
【4】灰かぶり姫の真似してはしゃいでるきみと遊んで掃除は後で(後)
【5】親指を唇に添え考えるクセを真似てもあの子になれない(真似)
【6】ずいぶんと遠くをのぞむ目をしちゃうクセが好きって言ったら怒る?(クセ)
【7】来世でもまた会ったなら遠くまできたもんだねと笑い合おうよ(遠く)
【8】またねって口にしながらお互いの手を離さないことがあったね(また)
【9】教わったピリカピリララとなえると強くなれるの口紅をひく(口)
【10】指先の真っ赤な糸をそっとひく誰に繋がるかはわかってる(ひく)



1224
方言(福岡)→方言なし

眠れない言い訳だってわかってる あなたのいない布団を撫でる
すっぱ、って笑って剥いたあのときのみかんがいちばんおいしくってさ
ぐしゃぐしゃに撫でられる髪くしゃくしゃな顔した祖父は何も聞かない
届かない・届く さん、はい 何してんの? どうも堅いのしようがないね



1225
方言(遠州弁)→方言なし

しょうがないよねって大人のふりしてる諦めきれないため息の数
やきもちと一緒にきみもお砂糖でまるごとぜんぶ食べちゃおうかな
青痣の滲みてくみたい きみのこと好きってこんな色してたんだ
待ったってどうせ来ないよ、意地悪に聞こえてたならごめんハチ公



1229
お題:ディズニー

京葉線ホームへ続く階段で髪をほどけば変身できる
今はまだおしまいのこと忘れてていいんだよって微笑むねずみ
駅が見える 痛いの痛いの飛んでいけちちんぷいぷい我にかえるな



お題:年越し

たぬきよりきつねがいいって言い張るの多分この人流のじゃれかた
年越しの瞬間いつもの寝間着きて歯みがきしてるきみが好きだよ
民放のテンションまでは上がれないふたりでかわす年始挨拶

log:202312 アイドル短歌

1206
Snow Man 深澤辰哉
CYAN MAN 2024.02

前髪をくしゃくしゃにする、適当に ぜんぶわかっているひとの手で
ゆっくりと伏せては開くまばたきとあなたが言えばそうなんだろう
ただすこしおどけてみせるだけのこと 胸が詰まって泣きそうだった
くちびるに触れた小指の血色はあくまで淡く または篝火



1215
「アイドルと来世」

来世ってやつがあっても結局はおんなじ星を選ぶんだろう
もしきみが生まれ変わっても今世とおんなじ星になっててほしい



1219
Snow Man 深澤辰哉
変化(山本照久→岸圭吾)

ふざけてる僕で笑ってくれんならそんだけでいい、もう全部いい
なにもかもだめになれたらよかったね さらってしまう司会原稿



1226
関ジャニ∞ 丸山隆平
相互題詠 お題:消せない、曲:赤い公園「消えない」

ぼくのことぼくがいちばんわかってる どうせお前はずっと消えない
綺麗事ばっか歌って(なんてこと、)イヤフォンを取る指の冷たさ
何回も聴いてた曲の歌詞なんてぜったい間違えたくはないのに
生傷はなくなりもせず痛くないふりだけやたら上手くなってく
踏み外す、ところで気づき足先は正しい位置に戻ってしまう
あたりまえみたいに僕を買いかぶる誰かをいっそ嫌いたかった
ちょっとくらい薄れてくれてよかったな あなたの声が今も消せない

2023年に行った美術館・ライブほかまとめ

2023年に行った美術展は33、ライブ16(内配信8)、舞台3、映画7でした。
・上期:美術展15/ライブ6(+配信等7)/舞台0/映画1
・下期:美術展18/ライブ2(+配信等1)/舞台3/映画6

以下、感想ツイをベースに時系列でまとめています。


1月

野口里佳 不思議な力(東京都写真美術館
・展示空間の作り、写真の色味、写真から感じる眼差しなどひとつひとつが明るく力に満ちているよう 知っていても形が分からなかったものを初めて目にした感覚が何度もあった 作品の中では「父のアルバム」「夜の星へ」が印象に残る
・たとえば「夜の星へ」の 夜、街を行くときに見る、ぶれて膨らんだ街灯の光の様子 まっすぐに、白く伸びるだけではなくて、円を描き、周りの車や人の姿を巻き込み溶かして行くような形 見てはいて、でも自分の目だけで感じているようにも思っていたものが 映像となって第三者的に見られること
東京都写真美術館ニュース 別冊ニァイズに「気持ちがふわっとラクになる」ってあったけどたしかにそうだったなあ 個人的には2023年はじめに行く美術展がこれでよかったと思う


18祭(東京ドーム) 1/8 17:00
・ここに来るのは2019年の十五祭、東京公演以来なんだ、ってことをライブ中にふっと思い出し なんかもう気持ちめちゃくちゃになってたし名古屋に比べてやたらと泣いてしまった かなしいのかって考えるとよくわかんないんだけど
・最後の挨拶 丸山さん 無茶振りしていいですか、とことわってから「皆さん好きなことを一言だけ僕にください」と言って わっと響いた東京ドーム中の声を聞いてから びっくりしたような顔をして 思いがけないような気持ちになった、と言って顔を覆ったの ものすごく印象に残った
・本人からしたらどんなきもちになるんだろう うれしさもあるだろうけど とてつもなく恐ろしくもなるんじゃないか 自分に向けられる数万人の声、感情 自分の一言でそうしてくれる、伝えてくれる人が目の前にこんなにもいるとわかってしまうこと 喜びもあるけど、責任だって同時に見えてしまうこと
・ジャニーズメドレー ブラザービート 歌い出しのとこの「イーアールサンスー」は丸山さんなんだけど 今回発音が完全にショッカーの「イー!」で ほんとに好き勝手やってるわ………と思いこれふかざわさん見てと思った(無茶)
・あともう丸山さんほんっとに歌がうまい………安定してるというか つくづくすごいなと思った 昔はハモるほうが多かったけど段々主なところを歌うことも増えて キミトミタイセカイとかほんといろんなところを縦横無尽に歌っててびっくりする
・この曲 正直CDで聴いたときはぴんと来てなかったんだけど、ライブで聴いたらもうめちゃくちゃよくて 生でこんだけ歌ってるのか〜〜…と思って慄いた
・最近横山さんだけがウケてる丸山さんのギャグ、といって披露されたのが「顔が汚れたアンパンマンに、新しい顔だよ!と言うのに断られ続ける、悲壮感溢れるジャムおじさん」つまり「愛と勇気をなくしたアンパンマン」だったんだけど、そこはかとなく重たいものを抱えてるんだよなと思ってよかった
・丸山さんで印象に残っているのが「へそ曲がり」の「…本音じゃ怖くて仕方ねぇ」、ぎらぎらした目で歌っていたところで 他にもこういう、挑むような何かに楯突くような顔をみせるところがあったけど、大体それはすばるくんが歌っていたような 強い、強い声や響きの印象が残っているようなところだったかもしれない、と思い返す
・バンドパート宇宙に行ったライオン→応答セヨ→ここにしかない景色って続いていくのが どうしたって7人のときの、6人のときのこと、彼らの過去と今とを思ってしまって どうにも苦しかった でも本当にあそこ大好きだった 特に応答セヨとここにしかない景色って、まるちゃんと亮ちゃんそれぞれの映画主題歌だったなとかって
 応答セヨ 「君が思うほどは まっすぐに歩いてこれなかったけど いつかまた会えたら」「約束という名の嘘になる前に」「追いついてみせろよ」
 ここにしかない景色 「走って走って転んで 繰り返しても」「自分なりの信じた道をゆけ」「また始まる 僕らの明日が」
 彼らの 7人、6人の話でもあり 彼らとファンとの話でもあると思った 本来は彼らとファンの話、の想定なんだろうけど
 どうしても6人の話と感じて(十五祭が前回のドーム公演、かつ東京ドームは亮ちゃんが脱退前最後に立った場所、と思うと、7人より6人とより強く思った)ここにしかない景色が 夕焼けのオレンジ色で、でも黄色も含まれていて、ってもちろん演出効果なのはわかっているんだけど どうしたって思ってしまった


2月

佐伯祐三 自画像としての風景(東京ステーションギャラリー
・街並みや船舶や薔薇、そのものの形を正しく写しとっている訳ではなくて、線や塗りのかたまり、という印象も強いのだけど、だからといって分からなくはならない、むしろそこにあると思える
・筆致の強さにもよるのかな ものの手ざわりがある
色味や明暗もそれそのものかと言ったら違うだろうけど、街並みや建物の壁面をいつどこで見るかの違いというか…描き出した瞬間の色彩なんだろうなと
・会場である東京ステーションギャラリーとの親和性が高くてそれもよかった 風景の色合いが煉瓦造りの壁にしっくり馴染んで


諏訪敦「眼窩裏の火事」(府中市美術館)
・緻密に描かれていて初め見たときは写真のようだと思って でも段々と、それそのものをただ再現するのではなくて、一度自分の中に落とし込んでから、そのものの中にある記憶や感覚もうつし出そうとしているのかな、と感じた
・生身のもの そこに生きていたひと 作者が知ろうとしたもの、見たもの、受け取ってきたもの を、絵を通してこちらもまた見ていて どっと渦にのまれるような感覚になる
・個人的には第2章の静物画がかなり好きだった「眼窩裏の火事」や「そこにあるはずの」など


相馬博 悠久と星霜の彼方(武蔵野市立吉祥寺美術館)
・見るほどたくさんの色が含まれているのがわかって、角度を変えてじっと眺めてしまう 単色のようでも近づくとラメのように輝いているところもある 塗り重ねてあるはずなのに重たいかんじがしないのが不思議
・写真撮影可だったので特に好きだなと思ったものを何枚か撮ったけど 生で、近付いたり離れたり、正面からや斜めから、いろんなところから見つめたほうが、光の加減も含めて、色や画面の凹凸がわかる 真っ白な作品も、白なんだけど絵がある、とわかるの 面白くってしばらく眺めていた
・常設のほうに浜口陽三の作品があるのでそちらも見て 浜口陽三もかなり画面の印象は黒が強く感じるけど、でもそれは光の限られた中から見た景色というか、光源は確かにあって、決して陰鬱な暗さではないんだよな〜 とか考えていた


3月

あたたかい森(VINYL GALLERY)
・植物の色味、生きもののかたち、春のふわふわ浮き立つ空気、をたくさんイラストから受け取って、なんだかあたたかくってちょっと元気になった 水彩のあわい色合いがほんとに好きだったな〜 細かな部分までずっと見ていたくなる

第59回ヴェネチア・ビエンナーレ 国際美術展日本館展示帰国展 ダムタイプ|2022: remap(アーティゾン美術館)
・限られた空間、音声は小さく途切れ、壁に投影される文字もすべては追えない中で、目に見えるもの・聞こえるものから何を受け取るか、何を考えるか、よくわからない、自分には関係ない、ではなく 思考と想像を求められている(けれど現状応えられていない)感覚がかなりあった
・世界各国でフィールドレコーディングされた音が好き かなり空間が暗かったので、ぼんやりとそこだけ光るターンテーブルの側、音から感じる街や人の気配に強く惹かれた

アートを楽しむ ― 見る、感じる、学ぶ(同上)
石橋財団コレクション選 特集コーナー展示 画家の手紙(同上)

日食なつこ「蒐集大行脚」(ヒューリックホール東京)3/31 19:00
・この場所にいられたことを本当にうれしく思う 2020年の春から 2021年7月、同じヒューリックホール東京から ここまで全部つながって、列に連なって なんかもう よかった〜〜うれしい〜〜〜ていうのと こんなところでくたばってたまるか、潰されてたまるかよ、ていうのが 入り混じり トータルめちゃくちゃ生きようと思ってる今 蒐集大行脚すごいな
・言葉にするのも力がいるなと最近つくづく思っていて 今日観たもの聴いたものも、今の時点で全部書けなくたって/書かなくたっていいかなあ 思い返しているだけでも充分うれしいし、そのうちに形になるかもしれない というのが現時点の心象… 体の中からぽかぽかして、今日はほんとにほっとして眠れそう
・蒐集大行脚は なんだろう音楽にふれられることの喜びであったりとか もっと大きな 何かを作ること、表現すること、味わうこと これが好きだ、こう生きたいんだって表に出すことを まるっと肯定されたような
・めちゃくちゃ個人的なはなし この1ヶ月くらいべこべこに凹んでて、ずーっと頭にもやがかかってるみたいで、ぐらついてるのは自分でもわかるけどどうにもならなくて でもそういうところから、背骨のひとつひとつがきちんと正しい位置に積み上がって、自分はこういう形だったってわかったみたいだった


4月

日食なつこ「蒐集大行脚 -extra-」(ヒューリックホール東京)4/1 18:00
・日食さんの音と、みなさんの、それぞれの音を全身に浴びて、浴びるだけじゃなくて足の先から頭のてっぺんまでひたひたに満たしてもらって、体がふくらんだ気分 ほんとにシンプルな言葉にしかならないんだけど、とにかくずーっと楽しかった…!
・3/31蒐集大行脚は引っ張ってもらう、列に連なる、という感覚が強かったんだけど、extraはその列がもっとさらに大きく膨らんで、ひといきれの中にいるような、でも苦しいことはぜんぜんなくて、まったく不安のない百鬼夜行 99鬼夜行? に加わったみたいな…
・「音楽のすゝめ」を聴いたらどうしようもなくなるだろうな、とは思っていて、やっぱりそれはそうで、特に昨日、「お前に幸あれ」のところで指を差してくれるのを見たとき、どうしたって泣いてしまった
・extraラストの「やえ」、聴きたいなと思っていていたからほんとに信じられないきもちだったし、この先もずっと好きだろう、と直感みたいに思ってた
・これまでのこと 今ここのこと も本当に聴けて、観られてよかったし この先がある 「はなよど」が待っている というのがほんとに ぽつっと灯る少し先の未来を見せてもらえてよかったなあ と思い起こしてる
・蒐集大行脚が開演してすぐ 照明がぐっと動いて客席の方がぱっと照らされるの、何か生きものがそこにいてこちらを見た感があってぞわぞわした 照明、舞台演出もいつも好きでほんとに惚れ惚れするんだけど今回もそうだった というかもういろいろ圧倒されてた
・蒐集行脚は「ミメーシス」を具現化したものというか、物語性が強くて、日食さんの言葉や振る舞いすべて含めてあの世界、なかんじだったけど 蒐集大行脚は違って、曲としては重なるところもあるけど、もっと生身のもの その時々の揺らぎもかなり出るような
・これはいい悪いじゃなくて完全に主観なんだけど今回両日とも手拍子がなんとなく手探りなかんじを受けて キャパなのか自分の席の関係なのかわかんないんだけど 声出しも手拍子も人それぞれだからこうしなきゃみたいなのはないからこれはほんとに感覚…
・今回「ワールドマーチ」を聴いて今までよりぐっと好きが増したというか、体に自然と取り込めたかんじがした 自分のなかでいちばん今までと印象が変わった曲これだと思う あと「un-gentleman」は元々好きだったけどより一層大切になった


toconoma 15th ANNIVERSARY TOUR "TOCONOVA"(LIQUIDROOM)4/15 18:00
・最高、ずーっと楽しかった 終わっちゃうのがさみしくって、名残惜しくて、でもまた絶対ライブを観に来るぞと思ってた 生ビール飲みながら延々と踊ってた ほんとに楽しかった…! toconomaのライブずーっと居心地よくてすごい
・ライブで聴いたり見たりした 音のかんじとか照明の強さとか、影のできかたとか、自分や周りの体の揺れとか あんまりはっきりした言葉にはそのときならなかった感情とかが 自分でもわからないうちにたまっていって、いずれ何かになるってこともあるよなあ だといいな と思いながら帰ってきた


映画 RRR

滝沢歌舞伎ZERO FINAL LV 4/21昼、22昼夜、23昼、29昼夜、30昼


5月

西島雄志「瑞祥 zui-shou ― 時の連なり ―」(ポーラ ミュージアム アネックス)
・素材は金属なのだけどもっと膨らみと温度があるものに見える 巻いていく時間やそこに内包されるものの多さ 形作られたものには欠けている部分があって、でもそこにあると分かる、そう感じる


生誕110年 佐藤太清展 水の心象(板橋区立美術館
・「緑雨」と「昏」がものすごくよかった 雨の日のけぶるような表現、そこにある空気の揺らぎが確かに見えて
太清は日本画の絵の具を混ぜて中間色をかなり作っていたらしい 展示されていた実物の この色の美しさ…


さかざきちはる ペンギンアパートメント(市川市芳澤ガーデンギャラリー)
・ペンギンの絵がたくさん見られて楽しい!特に「虹のアパートメント」にあったシリーズが好き
・展示空間もアパートのイメージでデザインされていておもしろかった〜 見て回る楽しさがたっぷりある
・友人と一緒に行ったので、この絵が好きとか、この絵のこの瞬間はどういうことなんだろうねとか、あれこれ話しながら見られたのもうれしかったな〜 「ペンギンアパートメント」は前期後期で作品の入れ替えがあるから(今回は前期)出来ればまた行きたい
・芳澤ガーデンギャラリーは数年ぶりに行ったけどお庭の雰囲気含めて静かで好き 近くにある木内ギャラリーも建物がすてきなんだよなあと思い出してた ちょっとだけ駅から歩く場所ではあるけど、気候がいいときだとそれも楽しい


6月

日下明個展 FROM FAR AWAY(手紙舎 2nd STORY)

光の芸術家 ゆるかわふうの世界 ~宇宙(そら)の記憶〜(福岡アジア美術館
・床とか天井に使われている断熱材を使った作品 彫りが本当に緻密〜… 光の表現がめちゃくちゃ好きだった


アジアの近現代美術―黎明期から現代まで(同上)
「私」から問うーアジアの現代写真Ⅱ(同上)

・コレクション展がいろいろあって面白かったな〜 常設展示室の中でいくつも細かな展示に分かれてるかんじ

Snow Man 1st Dome tour I DO ME(東京ドーム)6/12 17:00
・ドームに立っている姿が 歌って、踊って、走り回っている姿が 本当に楽しそうで、うれしそうで、あんまりにも伸びやかで 彼らがここに来られてよかったなあと何回だって噛みしめてた すごくすてきなものを見せてもらったなあって思う
・最後の挨拶のときのふかざわさんが 少し遠くを見るような眼差しで、ほんとに穏やかに、やわらかく言葉を紡いでいって きちんと話し終わって照明が絞られる、カメラの画角からも外れる、その一瞬に くしゃくしゃの顔になったのを見て、なんだかもう、胸がいっぱいになった
・ちょうど前日に8.8の映像を見返していて 発表直前のふかざわさんが泣くのを堪えているような、何かが崩れてしまう一瞬前みたいな顔をしているね、と言っていたので それを思い出したのもあって余計に
・オープニング格好よくて大好きで ただこれだけは言わせてほしいんだけど 完全にオタクの見る夢みたいな映像だった カジノ舞台で深澤さんディーラーって、なに…??? 夢かな あとあれ皆の役職?肩書き?見損ねた…
・映像ぜんぶ凝ってて 特に好きだったの「僕という名のドラマ」直前?かな ひとりひとりが薄明かりの差す中たたずんでる映像で あのときの深澤さんほんっとに美人だった 腹をきめてしまった人特有の恐ろしいほどの静けさ、のようなものがあって
・ユニット Vroom Vroom Vroom、MVは博士の視点だったけど、ドームの演出・パフォーマンスは完全に作られたロボット側だったな〜と思って 作られて意思を持って動き始めたロボット、の姿なんだろうなって
・センステ真ん中にお立ち台みたいなの作って、はじめそこに入ってて 実験器具とかいろいろあるのはMVと一緒だけど、蛍光塗料?電飾?でぴかぴか骨のかたちに光る手袋して3人踊ってて なんかあの生身じゃないかんじが作られた側ぽかった
・周りにごちゃごちゃ置いてあって、剥製とか培養液みたいなの、あれ実際のオブジェと映像と入り混じってると思うんだけど、わけわからんかんじになっててMVの世界にも近いしちょっと違うかんじもあるし おもしろかったなあ
後半の台の上とかその前とかで踊ってるのは本当に好きでしかなかった
・あとあんなコントみたいなのやると思わず………ボケたがりのだてさんとまあまあ普通にボケ属性のひかるくんが揃うと深澤さんが片っ端から突っ込んでいかないとならないの笑った ちょっとお母さんぽさもある
・ゆりぐみさんCry outのラストあたり?センステでガンガン頭振って煽りあうかんじ 渡辺さんが躊躇いなくいってるな〜と思ってたらふっと我に返って、そのうちスン…て自然と距離がひらいたの、ゆり組…てなった だてさんは最初から最後までぜんぜん動じてなかったし躊躇ってもなかったので、渡辺さんだけ多分途中であっこれ涼太、ってなったんだろうな…と思った 我に返ってしまわなければ楽なんだろうけどそこであれってなるのが渡辺さんのイメージ ほんとに勝手ですみませんとは思いつつ…(ゆり組さんが煽り合ってたのCry outの前かも PPPラストらへん? センステ戻ってきて花道のスロープ?前あたりで)
・slow... → super deeper → PPP → Cry out の強すぎる流れ今思い出しても面白かった あそこまで激強なの初めて見たし、なんか好きに生きようと思って清々しいきもちになった
・アドレナリン出まくってるのか、全員頭振りまくり煽りまくりで、あと大体洋服がなくなっていた
 ひかるくんは、わたしが見たときには完全に上裸で、いつ脱いだ…?となってたんだけど、一緒に入った友人曰く「自らインナー引きちぎってた」らしい 肉体美ってかんじだった
 だてさんはあみあみのタンクトップ なべさんこーじくんもインナーのタンクトップだけになってた
 あべふか同期は周りがほぼ洋服を失っていくなか最後までまったく脱がずにいて、ぶれない……となった
・あとCry out最後の特効が激しすぎてもはや花火大会みたいだった 景気がよすぎる かなりの音量だったので耳栓あってもいいかもしれない


Snow Man 1st Dome tour I DO ME(福岡PayPayドーム)6/18 16:00
・演出で特に好きだったとこ 「クラクラ」の、白いドレス着た女性のトルソー相手にすのそれぞれがアプローチするとこ 個性出るな〜!と思ってめちゃ楽しかった こーじくんがとにかく色っぽかった…見せかたが上手!!
・こーじくんのあの長くて骨っぽい指がズームになって トルソーのお腹のあたりから胸元にかけてするする手のひら這わせてくの 途中で服のレースに指先が引っかかるのも艶めかしくて
・これ本当にトルソーへの接しかたそれぞれで面白かった きゅってバックハグする仕草がかわいいあべちゃんもさすがだし、「存在そのものがfantasy」でちょっと観察するみたいにするだてさんもすてき
・あと深澤さん ほんっとに自分からトルソーに触れない…!最大限接触して肩に手を置くくらい…? みんな大体後のほうになると顔近づけたり抱きしめたりするのに、最後トルソー触れてもなかったの見てむしろ興奮した(?)さすが相手から告白させるようにもってくと言うだけある
・見ててつくづくふかざわさんのこういうとこ好きだ〜と思ったの「クラクラ」の、「dizzy, dizzy」てとこかな? トルソー相手だから顔部分はないんだけど、目を細めて微笑みながら、表情を確かめるように視線をやるの
 たまにあの表情するなと思ってて なんだろ、相手が泣こうが怒ろうが笑おうが、全部深澤さんの手の中にある、みたいな ぜんぜん動じてない、みたいな うっすら笑って相手のこと確かめてる顔 どの表情って言ったら伝わるかなあ とにかく大好きだった〜…
・idomeで見たふかざわさん、表情も歌声もぶれない 安定感…と思ってめちゃくちゃよかった あのひといつも完全に「深澤辰哉」なんだよね… 自分はほんとに素のままだよ、みたいなことご本人は言うけど、そういうのも全部込みでパッケージされてるというか 求められてるものを100%でくれる
 なんだけど だからこそ? それがふっとほどけたように見える瞬間とか 崩れかけたところとか パッケージされたものではない、おそらくは彼自身の意識していない部分、を垣間見たように思うときに より一層惹かれるのかなあと思って めちゃくちゃ感覚の話なんだけど
・こーじくんめちゃくちゃオーラあるなあと思って こちらと一瞬目を合わせてすっと外すとか、思わずどきっとするような仕草 視線の動き が本当に上手だなって つい追いかけたくなるような色っぽさがある 男性的な色気というより女性のしなやかで少し駆け引きのあるような
・これはもうめちゃくちゃ勝手な想像だけど、こーじくんが今までにふれてきたもの、素敵だなって思ったものを、柔軟に取り入れて表現していってるとして そのなかには女性の仕草や雰囲気もあるんだろうなあと で、かつそれを丁寧にきれいにトレースできるんだろうな、とか
・あべちゃんのあざといと言われる仕草も、女性の動きがベースになってはいるんだろうけど、男性であるあべちゃんがやるならどうするのが一番いいかっていう計算と変換がされているかんじ(だからこそあざといっていうのもある)でもこーじくんは変換するよりそのままなぞる方が強そう…
・渡辺さんの歌 元々めちゃ好きなんだけどidomeで聴いて改めてほんっとうに最高と思った 最初から最後まで声量落ちないし あとがなりがよすぎる…「POWEEEEER」とか「super deeper」とか


7月

2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展板橋区立美術館
・多様な国の絵本、表現方法も刺繍やコラージュなどたくさんあって楽しかった〜
・チケットが飛び出す絵本形式!あと好きな入選作品(パブロ・アルバレス「道」アルゼンチン)が缶バッチになっていて思わず買った


富澤大輔 写真展『平行写真』(本屋イトマイ)

劇場版アイドリッシュセブンLIVE 4bit BEYOND THE PERiOD DAY1


スローターハウス(東京芸術劇場シアターイースト)7/21 19:00
・全体として 対話と語りが重なっていくので、観るのに集中力がかなり要った 1時間半があっという間
・なるべく聞き落としたくないんだけど、いかんせん会話なので、考えているうちにどんどん進んでいってしまう さらには実際の会話と同じく話が飛んだり脱線したりするところもある むずかしかった…
・でも最後の佐恵子の台詞を聞くために来たんだなと思ったし、そう思えてよかった
・分かり合えなさがずっと横たわってある 前島と佐恵子の間にも、佐恵子と直樹の間にもあったろう 戸田とその母親の中にも
・そう、戸田とその母親… 最後の最後、母親の言った言葉、がんと頭を殴られたように思ったけど、でもあり得ると思う たとえばわたしの母も、わたし自身も、その場に立ったら口にするんじゃないか という怖さ
・分かり合えなさを引き受けることにした人と、そうでない人/目を背けたいものに向き合っている人と、そうできない(大体の人はできないんじゃないか、とわたしは思ってしまうけど)向き合えない人 だから延々と話は巡っていく ただその巡らせることに意味は必ずある、はずなんだよね ただ堂々巡りしているだけではなくて
・パンフの中に、赦しであるとかカトリック的な、というキーワードが出てきて、犠牲や原罪といった要素も含まれているかなと思った
・佐恵子はおそらく、原罪をおって生きることを受け入れる母なんじゃないか(聖母マリアは原罪のない人と言われているけどそれとは異なる)
・直樹が原罪のない存在とするなら、彼女はそうではないし、さらには直樹のような存在を意識的にも無意識的にも差別してしまう人間であり、それを罪とするなら、その罪を償うための人生として、確かに彼女はああ生きるんだろうな
・というようなことを考えてようやく公演のメインビジュアルはピエタの構図に似ているんだなあと気がついた 母子の話 佐恵子と直樹、さらには、佐恵子と前島
・前島について 分かりたくない 受け入れたくない 認めてしまったら自分は生きていけない とどこかで気付いていて、どうにか理屈をこねて、そうやって過ごしている人なのかなと思った ・それで、だれも救ってはくれなかったけど、いちばん近いところに来てくれたのが自分が殺した人の母親で 絶望でもあり希望でもあろうと思う
・舞台のつくりはかなりシンプルだったけど、背景やセットがなくても部屋や施設の様子を想像できたのが面白かった ほんとに何にもなかったのに…
・舞台全体が最終的に心理学とかで出てくる箱庭の中みたいになっていったのがすごくよかった


映画 大名倒産

国立西洋美術館 常設展
美術館の悪ものたち(国立西洋美術館 新館 版画素描展示室)

映画 君たちはどう生きるか
・前情報もネタバレも入れないで何かコンテンツを観る機会も今後ほぼないだろうからその点すごくよかった 内容はぜんぜん噛み砕けてないんだけど、宮崎駿が好きな要素てんこ盛りだな〜ていう第一印象 大体ずっとこれが宮崎駿のサビ…と思っていた
・帰ってきてからちょこちょこ解釈とか見てみたら、自作のセルフオマージュとか他の有名な絵画も参考になってるとかいろいろ出てきて、なるほどなあとは思った けどまあとにかく宮崎駿の根っこにあるものを描いていったらああなる訳だよね…
・思っていたより話は追えたかんじがした もっとぜんぜん意味が掴めないかなと思ってたけど(ひとつずつ深堀りしたらまた違うんだろうけど、とりあえず大枠のストーリーとしては、という意味で)あれ深掘りするってつまり宮崎駿その人の分析になるというか癖を暴くみたいなものか…

8月

植物と歩く(練馬区立美術館)
・木や花の絵は好きだけど、この展覧会のように体系立てて+テーマ性を持って見たことはなかったので新鮮でよかった 実際の植物標本と、その植物が描かれた絵をあわせた展示も面白い〜 本橋雅美「立葵」他メゾチントの作品がかなり好きだったなあ


ソール・ライターの原点 ニューヨークの色(ヒカリエホール ホールA)
・何か越しに撮る・ぼかす、ガラスや鏡の写り込みを使う等、撮り方や構図が格好いいなあと見るたび思う また本当に一瞬の切り取りがすてき、物語性があって、その前後を考えたくなる雰囲気


平間至展 写真のうた(ヒカリエホール ホールB)
タワレコの広告写真や雑誌・ジャケット写真の格好よさはもちろん、平間写真館のいろいろな家族写真やウエディングフォトが面白かった 生き生きした表情、体の動き いちばん嘘のない、ぱっと光った一瞬が写っているかんじ

toconoma YAON-NOMA(日比谷野外大音楽堂)8/20 17:00
野音のセットとかテーマが「weekend heaven」だったのほんと最高だった めちゃくちゃよかったな〜…
・最初から最後まで踊りまくってた 体調的にお酒飲めなかったんだけど、気持ちとしてはめっっっちゃビール飲みたかった


9月

野又 穫 Continuum 想像の語彙(東京オペラシティ アートギャラリー)
・どこまでもリアルだけど本当にはない建物や風景、描き込みやそもそもの造形・構成の細かさに頭がクラクラする 構想メモや資料も見られてよかった ただどうやって想像し描いているのかは見てもぜんぜんわからない…


谷内こうた展 風のゆくえ (ちひろ美術館・東京)
・この企画展がほんとによくて あんまりにも絵が好きで図録も買った… その場の空気まで感じられるような色合い 子どもへの書き置きも展示されていてすごく好きだった やさしくてユーモアのある人だったんだなあと思う

ちひろ 子ども百景 (同上)
いわさきちひろさんの絵はほんとうに可憐、見ていてほわっとする あと改めてめちゃくちゃ絵がうまい…と強く感じた 子どもたちのいきいきした姿を描くのは、よく観察するのと同時に、豊かな想像力があってこそできることだなと思う
ちひろ美術館安曇野の方は何年か前に行っていたのだけど、東京は行ったことがなくって 以前おすすめしてもらって、ずっと行きたかったのでよかった 建物の雰囲気がとてもよい… 展示室はこじんまりしてるけど、天井の高い部屋もあるし、階段が吹き抜けっぽかったりで全体にゆったりしてるかんじ

KANJANI∞ 20FES 〜前夜祭〜 配信
・ぼろぼろになりながら観てる 大好きだ ほんとにこのひとたちが大好き
関ジャニ∞の20周年、分かるようでまるで分からない(けど年間通してずっと何かがあることだけは明確な)スケジュールが出てきて笑い転げた 忙しいやろ!って言われたけどほんとそうだよ おもろすぎる
・ハライッパイのときの 大倉ちゃんの焼き鳥→トリキ、まるちゃんの素麺→たこ焼き、村上さんのラーメン→トリキ 言い換えと連携が見事すぎて ほんとにこういうとこが好きなんだよな〜…
・生きてる僕らも大再生も聴けてうれしくて Baby BabyとBOY'23でいっぱいになって ナントカナルサでめちゃくちゃ泣けた あとやっぱり罪と夏はあんなに楽しいのにどこか切ない
・ナントカナルサを聴きながら わたしの社会人生活はほんとにずっとエイトと一緒にあったんだなあって改めて思い返してた ずたぼろになって、それでも何くそと思って、ずーっと
関ジャニ∞の来年のスケジュール 大倉さん「おれらに週末ぜんぶちょうだいよ」言ってたけど本気だな……と思った

10月

天翔ける風に(東京芸術劇場プレイハウス)10/7 18:30
・太鼓と津軽三味線メインの音楽がとても好み 生で耳にする音楽と歌、全身を使った表現に圧倒される
恐らく自分に近いのは志士や民衆のずるさじゃないかと思った 誰が立ち上がるのか、ええじゃないかの先頭に立つのは誰か、という
・「罪と罰」には西洋の宗教観が反映されているとして、舞台を幕末日本に移す時点でそういった考えかた、ものさしでは語れなくなるよな…とあとから思い 後半わりと急に赦しの話が出たような気がしたのはそのあたりによるのかな
・恐ろしかったのは英と智の関係かもしれない 関係というより智の考え方だろうか 智の自己犠牲的な奉献は愛であるかもしれないけど、自分がどうしたいかを自分で決めているようで、結局は英や家族のためというそれらしいお題目を述べているだけのようにも見える ひっくり返せばすぐに人のせいにできる…
・あと智と溜水の関係がよくわからなくて消化不良になっている

イン・ビトウィーン(埼玉県立近代美術館
ジョナス・メカスの作品を初めて見たけどとても好みだった 映像、場面の映し方や切り取り方に、ソール・ライターの雰囲気を少し思い出す
・林芳史の作品、意味をとるよりも、色や滲みの具合が好きで見ていた ものの輪郭が淡い


MOMASコレクション(同上)
永井天陽 遠回りの近景(同上)


映画 ジョン・ウィック:コンセクエンス

11月

柿崎サラ原画展(本屋イトマイ)

映画 ゴジラ-1.0
ゴジラのテーマ曲…と言っていいのか?ゴジラゴジラゴジラがやってきた〜のあのメロディを聴いたとき謎の感動がある
・戦争絡みの話なので、戦争経験を美談にしたり、明言化されないものの確実に求められている自己犠牲や同調圧力のことを全くなかったことにしたり、というのは避けたいんだけど(対ゴジラの作戦に当たる人たちの中には多分、流されていた人もいるよな、という意識は捨てずにいたい)
・それはそれとして、仕事・やるべきことに精一杯向き合う、誰かが貧乏くじを引くしかないならせめて自分で選んで引く、といった意思や態度は、自分が社会人生活を送る中で意識していることにも近く、あの作戦にあたった人たち全員頼む、報われてくれ……と祈りながら観ていた

木下千春日本画展 ~はじまりの夜、幻想の羽衣~(佐藤美術館)
日本画って一体…??てなる「萩」という作品、屏風?障子?に絵が描いてあってそれがまた緻密…他の絵も布に描いているものがあったり素材感もおもしろかった


12月

坂崎千春『ペンギン パーティー』(ART SPACE SKY GALLERY)

蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠(TOKYO NODE GALLERY)
・明るくて眩いのだけど、必ずその後には終わりがある と思い知ってしまうような 走馬灯というにもあんまりにも鮮やかな写真と映像 作りもののようだけど現実、現実だけどすぐに掻き消えそうな、と考えるうち分からなくなる
・個人的には展示の最後の映像がいちばん好きだったけど あれも一瞬のまたたき 終わりのなかで見た光 というかんじがあったな…
・最新技術ばりばり!というかんじもしたので あべちゃんこういうの好きそう〜…とか思いつつ観ました これは完全に個人の感想です


大巻伸嗣 Interface of Being 真空のゆらぎ(国立新美術館
・とてもよかった ずーっと観ていられる 意味をとることよりも、その場の空気であるとか、微かに感じるそよぎ、光の明滅、耳に届く音の響きを追っていくかんじ 何にも考えずぼんやり眺めているだけでもよかった


映画 鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
・怖いの苦手だしいけるかなと思ったけどぜんぜん大丈夫だった!!
・ミステリーとかサスペンスは好きなジャンルだし、そこで出てくるレベルのグロ描写ならまあまあ見られるから平気かな、という判断は合ってた
・記憶とか犠牲の話が好きなので ゲ謎……水木………とはなるな と思いました 水木好きです 父も格好よかった

NEWS 20th Anniversary LIVE 2023 in TOKYO DOME(東京ドーム)12/21 18:00
・初めてNEWSのライブ観たんですけど 彼らって星なんだなと思ったというか 星であることを目指してくれる そしてその星は彼ら=アイドルに特有のものではなく誰しもの中にあるのだと歌ってくれる という風に感じた めちゃくちゃ抽象なんだけど
・エイトで知り合った方からお声掛けいただいて 一緒にNEWSのライブ入るの なんだかとってもふしぎででも本当に楽しかったしうれしかったなあ
・レーザーとか特効はほんとあればあるだけテンション上がるけど それが過剰に見えないというか ご本人たちの放つエネルギーがそれを上回っているからごく自然に溶け込んでるの めちゃくちゃすごいな…と思った
・ほんとにちょっと申し訳ないくらい詳しくもない人間なのだけど 最初から最後までずっと楽しく観られるのってなかなかないよな とも思った めちゃくちゃ楽しかったです!!!
・わたしはアイドル短歌を作るときにそこまで彼らを星にたとえないかもなあ とうっすら思っていたことが 今回ライブを観たことでなんとなく解けたというか 主に観てきたエイトは別に星ではないもんな………というきもちに落ち着いた どっちかというと星を何くそと思って見上げるかんじかな…


The Agent(有楽町よみうりホール)12/23 12:00
・アクションとダンスてんこ盛りでずっと楽しかった〜!個人的にこれが今年の舞台納めだったので最後にぎやかに終われてよかった!屋良くんと原くんは秋に続いて、寺西くんは実は初めて?見ました
・てらにしくん、歌もダンスもうまくてすごい、と聞いてはいたけどほんと 手足も長くて見映えする〜…と思って見ていた 格好いいね… 原くんは個人的に今年いちばん生で見た人でした(スローターハウス、天翔ける風に、The Agent)スーツ姿でばりばりアクションやったりダンスやったりはそりゃ好きだよ…

ネットプリント「あなた」のこと

2023年11月26日に、ネットプリント「あなた」を発行しました。
今回、そのPDF版を公開します。

drive.google.com



このネプリは、関ジャニ∞丸山隆平さん40歳のお誕生日にあてて作成したものです。
今年は5月にも、Snow Man深澤辰哉さん31歳のお誕生日にあてたネプリを出していました。自担と呼ぶおふたりそれぞれに向けて、ささやかではありますが小さな歌集を作れたこと、とても嬉しく感じています。


上記記事の通り、「そのひと」については以前、簡単な振り返りをしていました。そのため「あなた」についても同様に、作るときに考えていたことなどをまとめておきたいと思います。
ただ、こちらの記事はあくまで記録であり、「あなた」及び収録短歌について、その読み方を限定する意図はありません。ご自由にお読みいただければと思います。

全体の構成

既発表の11首+新作4首を元にした連作2編と、新作25首からなる連作1編を収録。
既発表ベースの連作2編は、X(Twitter)で丸山さんのお誕生日をお祝いするポストをした際にもあげています。
新作25首については「アイドル短歌25のお題」をお借りして作りました。こちらはネプリでのみ発表。

ネプリを作ろうと思い立ったとき、
・丸山さんの年齢と同じ40首収録としたい
・既発表作と新作を織り混ぜたい
・「アイドル短歌25のお題」を、ひとりの人モチーフでやってみたい
……といったことをはじめに考えました。
まず、その時点で既発表だった短歌を数えると11首。これに「アイドル短歌25のお題」から作る新作25首を足すと36首。
残り4首については新しく作るほかないとして、
・何をテーマにするか
・既にある短歌と並べて違和感がないものに出来るか
といった部分について考えることにしました。

既発表ベースの連作①

あの夏を、強く祈ったあの夏を、おそらくきみは忘れたろうね
特別と呼んでたかった 一番になれないふたりであったばかりに
ぬるまったビールはいつかとおんなじで、だから嫌いだ、なんて感傷
捨ててればいいのにどうせ残してる、なんてお前を定義したって
訳もなく手は繋が(げ)ない ぼくたちは正しい答えをもう知っている

この連作は、2012年9月5日に、丸山さんと錦戸さんへの罰ゲームとして行われた「ほほえみデート」を思い返しながら作りました。
とはいえ、彼らが過ごしてきたいくつもの夏、それぞれに当てはめて読めるところもあるかな、と思います。
この連作については、内容の独立性が高いため、表現の修正以外は手を加えないことにしました(3首目のみ一部修正)。

既発表ベースの連作②

もうひとつは、3月18日/10月4日にそれぞれ発表した連作を解き、さらに新作4首を組み合わせたもの。

・3月18日発表分
だんだんと思い出せなくなるNの字が薄まったキーボードキー
全身をはたいて部屋へ諦念は泥より砂に近いだろうか
この時期は黄色が ううん なんでもない 眠れなくても目は伏せておく
 → 3月16日に更新された丸山さんの日記にあった花粉についての記述から膨らませました。
   花粉の話ではありますが「Nの字」「黄色」など錦戸さんを連想させるモチーフを入れたのは、わたしの感傷によるものです。

・10月4日発表分
もう平気、いいことあるよ 8のつくぼくらがかける新たな魔法
8の字が並んでいたら間違ってないってずっと思っていたい
きみの見る車のナンバープレートが8のゾロ目でありますように
 → こちらも、10月4日の丸山さんの日記から。車のナンバープレートの話でした。
   この3首はそれぞればらし、表紙に持ってきたり、連作に入れ込んだりすることにしました。

・新作4首
大切にしてくれるとこ同じだけ撫でたくなったあなたみたいに
笑うしかないほど痛いこともある だから何だとあなたは笑い
似合うってきみが教えてくれたこと含めて好きな色が増えたよ
誰よりも大きく口をあけているきみを見てたい きっと叶えて
 → 3月18日発表分が錦戸さんを連想させるものだったので、それに対応するものとして、現在の関ジャニ∞メンバーについての短歌を作りたいと考えました。
   1首目から、横山さん、村上さん、安田さん、大倉さんそれぞれと、丸山さんとの関係をイメージして作っています。

再編集した連作2編

こうして、既発表11首と、新たに作った4首を組み合わせ、連作2編に再編集しました。



きみの見る車のナンバープレートが8のゾロ目でありますように

あの夏を、強く祈ったあの夏を、おそらくきみは忘れたろうね
特別と呼んでたかった 一番になれないふたりであったばかりに
ぬるまったビールはいつかとおんなじで、だから嫌いだ これは感傷
捨ててればいいのにどうせ残してる、なんてお前を定義したって
訳もなく手は繋が(げ)ない ぼくたちは正しい答えをもう知っている



もう平気、いいことあるよ 8のつくぼくらがかける新たな魔法

大切にしてくれるとこ同じだけ撫でたくなったあなたみたいに
段々と思い出せなくなるNの字が薄まったキーボードキー
笑うしかないほど痛いこともある だから何だとあなたは笑い
全身をはたいて部屋へ諦念は泥より砂に近いだろうか
似合うってきみが教えてくれたこと含めて好きな色が増えたよ
この時期は黄色が ううん なんでもない 眠れなくても目は伏せておく
誰よりも大きく口をあけているきみを見てたい きっと叶えて
8の字が並んでいたら間違ってないってずっと思っていたい




新作25首

前述の通り、「アイドル短歌25のお題」を元に作ったものです。


以前にもこちらのお題からアイドル短歌を作ったことはあるのですが、その際には架空のアイドルを主体としていたため、ある特定の人物をしっかり中心に据えるのは初めてでした。
25首とある程度の数があるため、行き当たりばったりで作るのは難しいだろうことは予想がついていました。そのため、いくつかルールというか縛りのようなものを決めることにしました。そちらの方が自分としては作りやすくなるのと、ひとつの連作としてまとまりが出るだろうと考えたためです。
先に決めたルールはこちら。

・1首目と25首目は対にする
・ファン(わたし)から見たアイドル(丸山さん)の話をベースにする
・丸山さんから見た関ジャニ∞メンバー(渋谷さん・錦戸さん含む)についての短歌を入れる=7首
・その他丸山さん視点の短歌も含めてよいことにする

あまりいろいろ書いてしまうのも読みを狭めてしまうかな……? と思うので、これくらいにしておきますが、大まかにこんなことを考えながら作っていました。これを踏まえて読んでみると、これはそうかな、と思える、かもしれない。
1首目と25首目は先にすっと作れていて、残りも比較的さらさら作れたように思います。これまで好きだったこと、今も好きなこと、をぎゅっと詰め込めたのでよかった。わたしにとっても本当に大切な25首になりました。




以上、ネットプリント「あなた」についての簡単な振り返りでした。
ご感想などあればぜひ↓


#読む短歌 スペースのこと

Twitter(X)にて「#読む短歌」というスペースを計4回開いていました。

きっかけは、自分のスペースで、過去発行したネプリ「そのひと」を音読したこと。
ゆるっとした音読と解説の録音はこちら↓
https://twitter.com/i/spaces/1RDGllBRNDkGL

普段はもっぱら黙読している短歌ですが、口に出してみるとまたリズムやニュアンスなどが加わって面白い、と思い、自分の短歌だけではなく、他のかたの短歌も読んでみたくなりました。
そこで少し募集をかけてみよう、と思い立ったのがこちら↓


この募集に対して予想以上の反応をいただいたため、音読スペースは大きく2回に分けて開くことにしました。
①単作の回:今回がはじめましての方、1〜2首/人
②連作の回:以前からのフォロワーさん、5首程度/人


実際には、読む分量とわたしの都合上、スケジュール等が変動し、計4回スペースを実施しました。
この記事では各回のリンクをまとめています。

①単作の回
12/2(土)夜 12名分
天川橙さん/深神鏡さん/名前未定さん/とわなりくおんさん/一ノ瀬美郷さん/逢さん/阿笠香奈さん/しましまさん/碧乃そらさん/深水英一郎さん/空虚シガイさん/雨さん
https://twitter.com/i/spaces/1LyGBnVXMdpGN

12/3(日)夜 12名分
イトウマさん/ナクキザシさん/車掌さん/篠田葉子さん/田中颯人さん/おばけちゃんさん/月ノ華さん/深水遊脚さん/柚原さん/山葵さん/chr.hさん/パン粉さん
https://twitter.com/i/spaces/1kvJpvzPoPbKE

②連作の回
12/4(月)夜 8名分
独活部さん/貼°さん/碓氷さん/わらびもちさん/杏湯さん/夏野さん/昨さん/線香さん
https://twitter.com/i/spaces/1mnxepDBVdPJX

12/9(土)昼 9名分
遊佐さん/入瀬さん/穂村さん/古迫ねねさん/早海鈴さん/アキタさん/月食さん/偏頭痛さん/飄さん
*不具合があったため2分割
*1回目後半、特に音声の乱れあり
7人目途中まで:https://twitter.com/i/spaces/1mnGepDEVaQKX
7人目途中から:https://twitter.com/i/spaces/1vAxRvjbMnjxl

いろいろなかたの短歌を音読するにあたり、まず対象の方のTwitterホーム画面等から、好きな短歌を見つけ、ノートに書き写しました。その次に黙読して、自分はその短歌のどこが好きなのか・どこに魅力を感じるのか、自分の言葉に変える。
それからやっと音読して、読み取ったニュアンスを出すには…と考える、という風に進めていったのですが、本当に勉強になりました。まずこれだけの数をまとめて読むことが普段はそうないので、様々な表現にふれられただけでも、とてもよい刺激を受けました。

音読について、読むときには57577のリズムよりも、読み取ったニュアンスや意味合いを伝える方に重きを置いていました。自分が短歌を作るときや、普段黙読するときは、57577に当てはめて読みますが、せっかく音読するならもう少し違うものを……と思ったためです。完全に自己流ですが、朗読など、そういったイメージでした。
とはいえ、単作の回はどちらかというと、あまり感情を込めすぎず、さらりと読むようにしていました。より読み方を変えていたのは連作の回で、感情を強く表現したり、会話劇のようにしたり、とそれぞれの連作で変えてみた、つもりです。
もしかしたらそもそもの意味合いや背景からはずれてしまった部分もあるかもしれませんが……、わたしなりの解釈として聴いていただければ幸いです。

というわけで、全4回、とても楽しく読むことができました。スペースをリアルタイムや録音で聴いてくださった方、ご感想などお声をかけてくださった方、いいね等で反応くださった方、皆さま本当にありがとうございました。
今後も何かしら口に出して読むことは続けていきたいなと思います。そのときはお聴きいただければうれしいです。
何かご感想などあればお題箱まで↓

アイドル短歌メイキング(雑誌表紙関係)

自担が掲載された雑誌(表紙や誌面、写真及び内容)からアイドル短歌を作ることが多々あります。
元を辿れば、Twitter(X)で度々拝見するファンアート。絵描きさんたちが雑誌の写真を元にしたイラストを描かれるのを、ずっとうらやましいなあと思っていました。わたしも絵が描けたらいいのに、あの表紙の、誌面の、写真のすてきだったところを表現できるのに。
そんな風に思い続けていたのですが、あるときふっと、必ずしも絵でないと表現できないということもないのでは? と気がつきました。絵でなくても、どんな写真で、どこがどんな風にすばらしくって、自分はどう感じたのか、どんな印象を抱いたのか、表せるんじゃないか?
短歌にしてみよう、と思ったのは、ファンアートとして何かを表現する手段のひとつに「アイドル短歌」を持っていたわたしにとっては、そこまで突飛なことでもなかったのかな、と思います。
……とはいえ、今こう書いていると、そうはならんやろという気も若干してきます。何で短歌にしようと思ったんだろうなあ(いまさら)。


初めて雑誌の内容からアイドル短歌を作ったのは、2021年の頭。2020年12月、anan No.2230に掲載された『「滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie」の軌跡 #09 洒脱 深澤辰哉(Snow Man)』がとてもよく、その記事及び写真から着想して短歌を作り、連作としました。

このときは本当に、たくさんの方がイラストを描かれていた記憶があります。それを見るのが本当に楽しくて、でも歯がゆくて、自分なりに何か表現したくて、おそらく半月は考え続けていたように思います。
何が好きなのか。どこに惹かれたのか。考えて考えて、どうにか言葉に換えて、出来上がった連作。今でもこの連作のことは自分でも忘れられず、大切に感じています。


そのあとからは折にふれ、深澤さんが雑誌の表紙を飾ったり、そのほか雑誌掲載があったりすると、見て読んで感じたことをアイドル短歌のかたちにしてきました。特に2022年は表紙含め雑誌掲載が多かったので、かなり継続して作ってきたと思います。

ここまで作り続けてくると、自分の中では比較的短歌のかたちにするのが当たり前にはなっているのですが……、先述の通り、はたと立ち止まってみると、いやなぜ? という気持ちにもなりました。我ながらどうやって作っているのか不思議すぎる。


そこで、雑誌から着想したアイドル短歌について、簡単ではありますが、メイキングをしてみようと思います。
対象のアイドル短歌はこちら。

前髪をくしゃくしゃにする、適当に ぜんぶわかっているひとの手で
ゆっくりと伏せては開くまばたきとあなたが言えばそうなんだろう
ただすこしおどけてみせるだけのこと 胸が詰まって泣きそうだった
くちびるに触れた小指の血色はあくまで淡く または篝火



来年2024年1月発売予定の「CYAN MAN 2024年2月号」表紙の深澤さんから着想した4首連作です。
参考:「CYAN MAN 2024年2月号」

普段は雑誌表紙の写真だけではなく、誌面の写真やインタビュー内容も含めて連作としているため、どうしても雑誌を実際に読んだ方でないと伝わりにくい部分がありました。しかし今回は、表紙からのみ着想したため、この写真が元であるということが説明しやすく、さらには公式のお知らせページにも写真が掲載されていて、実物を確認してもらいやすくなっています。
アイドル短歌を作る際には、着想元(アイドル本人、楽曲、パフォーマンス、雑誌記事等)がわからなくても読めるものを目指してはいますが、メイキングを行う上では、着想元が明確になっていた方がより分かりやすいものになるかと思います。そのためこちらの連作を題材としました。


- 01 きっかけ

今回この連作を作ったのは、フォロワーさんからお題をいただいたのがきっかけです。
Twitter(X)で何かお題を出してもらいたい〜と言っていたら、「CYAN MANの深澤さん」で、と声をかけてくださいました(丁度その日に上述の雑誌情報が解禁になっており、Twitterで絶賛アワアワしていたわたしをご覧になっていたそう)。ありがたい。

- 02 イメージや書きたいものを決める

何を書こうかな〜とふわふわ考えていきます。この時点では本当に、思い浮かべているのはイメージでしかなく、はっきりした短歌のかたちにはなっていません。
今回考えていたのはこんなかんじでした↓

・前髪くしゃくしゃ
・光の入っていない瞳
・ふしぎなポーズ くちびる
・リア恋らしさ
・3〜5首くらい?

……これでよく連作になるなというかんじですね。
時間としてはここまででトータル1〜2時間(実際には何か別の作業の合間に考えていたりもするので大体ですが)。これくらい考えたら、実際に言葉を繋げて作っていきます。

- 03 作り始める

言葉は、部屋の中より外にいるときの方が出てきやすいです。移動中、歩いているときやバス・電車に乗っているときなど、よく考えています。頭から並べていくというよりは、何かしら浮かんだものをくっつけたり離したりして、収まるところを見つけるかんじ。
よさそうなフレーズが出てきたら、iPhoneのメモ帳に書き留めておきます。たまにメモしそびれて忘れるときもあるのですが、そのときはもう気にしないことにします。忘れたということはそこまでこだわらなくていいんだ、もっといい案が出るんだろう、と思うようにする。そちらの方が結果よくなることが多いです。

- 04 実作

ここから先は、実際に作った順で、どんなことを考えていたかなど書いてみます。

前髪をくしゃくしゃにする、適当に ぜんぶわかっているひとの手で
くしゃっとなっている前髪のかんじがいいなあと思っていたので、イメージのところで浮かべた「前髪くしゃくしゃ」をそのまま持ってきています。
本当はヘアメイクさんがきちんと整えてくれてあの状態なのはわかっているのですが、ご本人が自分の手で無造作にくしゃくしゃする場面を思い浮かべていました。深澤さんの姿を書くときに、ご本人は特に意識していないで、あくまで軽くやっていること、といった雰囲気を出したくなってしまう。そのあたりの感情が下の句に出ているかなと思います。
この短歌は割とするっと出来ました。最終的な直しもほぼなし。一字あけを入れるかどうか、「全部」と漢字表記にするか……などとも思ったのですが、結局は髪をかき混ぜる仕草はそれだけで独立させ、そこにフォーカスする感覚を含めたかったので、このかたちになりました。

くちびるに触れた小指の血色はあくまで淡く または篝火
悪戦苦闘した短歌。
あのふしぎなポーズを書きたい、と思ったものの、どう書いたものか悩み、しばらくは写真を拡大したりなんだりしていました。そのうちふっと、唇の色よりそこに触れている指先の色の方が白いのでは、と感じてきて、白魚のようとも言われる手指の美しさを改めて意識。そこにふれた短歌にしよう、と思ったら「くちびるに触れた小指の血色は」がすらっと出てきました。
そのあとをどうするかで延々悩み、「あくまで淡く」は比較的すぐ決まったのですが(見たまま素直に言った感)、最後の7音が出てこない。どうしようかな、と思ううち、ふっと指先の、本当に爪の先だけほのかに赤くなることってあるよな、と考えました。その様子を、光が灯るよう、と思ったところで、「篝火」という言葉が浮かんできた。
Googleで検索をかけて、イメージとしても大きく外れていなさそうなことを確認。よさそうだな、ということで、こうなりました。このあたりは正直感覚でやりすぎて説明になっていない気がします、すみません……。
ちなみに、くちびる、を「唇」にしようかと思って漢字も当てましたが、かっちりしすぎて、あの写真で見るやわらかさが出てこないと思い、元のままひらがな表記としました。

ゆっくりと伏せては開くまばたきとあなたが言えばそうなんだろう
ただすこしおどけてみせるだけのこと 胸が詰まって泣きそうだった

この2首はほとんど同時進行で考えていたもの。どちらもリア恋らしさ、を書こうとしていました。
具体的には、「ただすこし〜」の上の句が出来たところで、下の句を一回置いておいて、「ゆっくりと〜」を作りました。こちらの短歌ははじめからこのまま出来ていた。内容としては、パフォーマンスのときにするウインクをあくまで「まばたき」と言い張る深澤さん、というところから来ています。
「ただすこし〜」は、深澤さんご本人は大して意識もせず普通にしている言動が「リア恋」と言われることについて、それに(勝手に)振り回されている側のきもちを入れ込みたかったものです。これも割とそのままですね……。

- 05 並び替え・完成

はじめにイメージした中にあった「光の入っていない瞳」については形にならなかったのですが、まあそこにこだわらなくてもいいか……ということで、出来上がった短歌の並びを整えます。
並べてみるのも割と感覚でやっていて、短歌自体の長さであったり、一字あけや句読点・記号の有無など、バランスを見ながら落ち着くところを探します。たとえば、一字あけが2首続くと微妙かなあ、とか。本当にそれくらいのレベルです。
また、短歌をTwitterに載せる際に画像をつけることが多いので、画像加工アプリ(Phonto)で実際に組んでみながら調整することも多いです。一字あけや句読点、漢字ひらカタ表記の最終的な調整もここで。
あれこれ並び替えした結果、「くちびるに〜」がいちばん短く、他3首とは少し雰囲気も違うかな?という気がしたので、この短歌だけ少し別扱いにすることにしました。
画像の背景や文字の色は、短歌自体の印象と、着想元の写真からイメージを拾ってきます。今回はなんとなく青みがかったグレーがいいかな、と思ってこんなかんじになりました。
短歌の配置は、基本的には縦書きで、1首1行にするようにしています。が、何となくバランスが悪いなあとか、もう少しアクセントをつけたい、というときは適宜変えています。今回も縦書き1首1行だとなんとなく、うーん? となったので、いろいろいじった結果普段とはまったく違う雰囲気になりました。


以上、ものすごく簡単かつ感覚的な部分が多いメイキングでした。
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