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短歌と感想ほかまとめ

第5回上×下のこと(感想)

X(旧Twitter)での企画「第5回上×下」に参加しました。
せっかくなので、皆さんの短歌について感想を書きたいと思います。(あいにく全作については触れられていませんがご了承ください…!)
企画についての詳細は、主催である碓氷さんのポストをご参照ください。



絶望の輪郭を知るきみだから(残星さん)

絶望の輪郭を知るきみだから路傍の花をやさしく撫でる(向井康二/しま)

絶望の輪郭を知るきみだから切り取る今は色鮮やかに(向井康二/線香さん)

表現はそれぞれに違っているのですが、同じ人をイメージしているのもあってか
どういう部分を思って膨らませたかが通じ合うようでもあって面白かったです。

絶望の輪郭を知るきみだから進む未来は光であれよ(渡辺翔太/わらびもちさん)

絶望に対しての「光」、痺れました……!
「あれよ」と、その人に向ける感情、祈りであるのもいいなあと思います。


金平糖、はつなつの風、流れ星(しま)

金平糖、はつなつの風、流れ星 きみとの夜は呼吸しやすい(松村北斗/残星さん)

「呼吸しやすい」がとっても好きです!
夏の夜の、少しだけ涼しくなった時間を思い浮かべました。

金平糖、はつなつの風、流れ星 照らせば小さくひかる幸せ(岩本照/線香さん)

上の句に並べたものたちの共通項が「ひかる」ことかなと思って、
岩本さんのお名前やメンカラにも繋がっていくのがすごく好きです。

金平糖、はつなつの風、流れ星 きみの心が晴れますように(阿部亮平いとさん

上の句には、わたしの思うきらきらしたものを詰め込んだのですが
そこから祈りのように繋げてくださったのがとっても素敵だなあと思いました。

金平糖、はつなつの風、流れ星月見団子と晩夏の花火(Aぇ! group/ぺちかさん)

「はつなつ」から「晩夏」に繋がったのが、時間の流れがあっていいなあと思いました。
月見団子も花火も、上の句のものたちと同じで、光ってまあるいものですね。すてき。

金平糖、はつなつの風、流れ星、三度唱える伏せられた唄(二宮和也/わらびもちさん)

流れ星からこう繋がるのがいいな~!と思いました!
「伏せられた唄」は何の唄なんだろう? と考えるのも楽しかったです。

金平糖、はつなつの風、流れ星一番食べたい夏からどうぞ(長野博月食さん)

「食べたい夏」にびっくりしました! でも何となく分かる、星ってちょっとおいしそう。
長野さんという、食に通じる方にもしっくり合っていて素敵だなあと思います。


世界平和すら祈れず僕たちは(線香さん)

世界平和すら祈れず僕たちはとなり合わせもままならないね(ジェシー/残星さん)

世界平和すら祈れず僕たちは離れないよう手を繋いでる(向井康二いとさん

隣に立てない・立つ、で対照的な2首で、印象に残りました。
祈れなくって、そばにいられなくって、という気持ちと、
それでもなお、という気持ちと、確かにどちらもあるなあ。


来世でも同じ距離感で会えたら(いとさん

来世でも同じ距離感で会えたら貴方を星とまた言えたなら(ラウール/わらびもちさん)

「同じ距離感」からこの下の句が出てくるの、すごい…!
誰かを星に例えることって、手の届かなさの表現でもあるかなと思っていたのですが
そう言えるような、輝く存在であってほしい、という願いでもあるんだなあと…

来世でも同じ距離感で会えたらはさんだ0番越しに光を(timelesz/月食さん)

格好いい…!!「距離感」から「0番」に着想するの、めちゃくちゃいいなあ。
timeleszのこれまでの道のりや、これからのことを思って、
(詳しくはないながらに)すごくしっくりくる、素敵な短歌だ~…と感じました。


私の合わせた両手は見ないでね(ぺちかさん)

私の合わせた両手は見ないでね君の夢は全部叶うよ(阿部亮平月食さん)

「全部叶う」と、そう言い切る強さがすごくいいなあと思いました。
祈る、願うことで、その人の夢を叶えたいという気持ちと、
自分できちんと叶えていける人であろうという信頼もあるのかなあ。


絡む指 視界を滑る夜這い星(わらびもちさん)

絡む指 視界を滑る夜這い星「叶えました」報告だけする(目黒蓮/線香さん)

すごい、めめさんだ!!と思いました。「報告」、いいなあ……
願い事をするものとしての「夜這い星」に対して、この単語が出てくるのがすごい!と思います。

絡む指 視界を滑る夜這い星きみの幸せ、その次わたし(末澤誠也/ぺちかさん)

ものすごい愛だなあと思って……まず「きみ」が出てくるのが本当に素敵。
でも自分も蔑ろにはしていなくて、ちゃんと「わたし」もあるのもすごくいいなって思います。


本当は生命線だと思ってる(月食さん)

本当は生命線だと思ってる きみがする未来の話ぜんぶ(松村北斗/残星さん)

本当は生命線だと思ってる生きる何かを押し付けている(なし/ぺちかさん)

ああ~……わかる………ってしばらく頭を抱えました。あまりにも分かる。
好きな人がいて、その人が未来の、先のことを話してくれるから、
それまではまだなんとか、と思えるところが、少なからずあるんですよね。

本当は生命線だと思ってる 消えないでいてぼくのアイドル(なし/いとさん

最終的にこの感情に集約されていくというか……本当にわかりすぎて……
消えないで、と願ってしまう。なるべく長くそこにいて、と言いたくなる。
まっすぐで、強い、祈りだなあと思いました。


一面の海には星が揺れている(浅葱さん)

一面の海には星が揺れているいつか還るときが来るまで(安田章大/古迫ねねさん)

やすくんと海、というのがすごくしっくり来て…
今は出来なくても、「還るときが来」たなら思う存分海と触れ合ってほしい、と
強く思いました。

一面の海には星が揺れているすくえないからここで見ている(なし/偏頭痛さん)

ぱっとイメージしたのは、ペンライトの光が作り出す光景で、
その前にいる人=ファンでもあるしアイドルでもあるのかなあ、なんて思いました。
掬えない/救えないどちらにも取れるなあと思って、そこも好きです!


ありのまま過ごせるように君の道(古迫ねねさん)

ありのまま過ごせるように君の道照らしておくよどこまでだって(重岡大毅/独活部さん)

ありのまま過ごせるように君の道ひまわりばかり集めてつくる(重岡大毅/真田さん)

どちらもぴかぴか光るみたいに明るくって、
何より重岡くんにとてもしっくり来るなあと感じて大好きです!

ありのまま過ごせるように君の道、整えはせずに花だけ植える(なし/碓氷さん)

「整えはせず」というのがいいなあと思いました。
「君」への信頼というか、自分の力で進んでいけるという感触がある。
「花」が出てくるのも、花道を連想して、素敵だなあと感じました。


この家の彩度に合わない花一輪(独活部さん)

この家の彩度に合わない花一輪あきらめ方は忘れておくもの(工藤由愛/真田さん)

めちゃくちゃ格好いい!と思って惹かれました。
シンプルに諦めない、というよりもっと感情の揺れがあるかんじがします。


必然はないと知ってて願うこと(偏頭痛さん)

必然はないと知ってて願うこときみが画面の向こうにいること(なし/浅葱さん)

わかる~……としばらく頭を抱えていました。
変わらず「画面の向こうにいること」を願ってしまう。
でもそれが当たり前じゃないんですよね。いつも忘れそうになる。

必然はないと知ってて願うことも罪ならどうか許さないで(iDOLiSH7/碓氷さん)

この痛切さ…と思ってとても好きでした。
完全に主観ですが、iDOLiSH7は明るいけれどどこか切なさがあると思っていて
彼らや、彼らを見るファンを思って、すごくしっくり来るなあと感じます。


短冊はすぐに消えちゃうものだから(真田さん)

短冊はすぐに消えちゃうものだから日々なりたい君を教えてね(ラウール/古迫ねねさん)

「消えちゃう」という儚さ、悲しさに対して、「なりたい君」と繋がるのが素敵!
悲しくならないというか、すごく前向きで、いいなあと思います。

短冊はすぐに消えちゃうものだから直談判しに行くの?本気で?(なし/偏頭痛さん)

強気…!「直談判」する強さ、真っ直ぐさがまぶしくて素敵。
そしてその姿に対してどこか冷静な「本気で?」という語のバランスがとても好きです。


眠れない夜が一つもないように(碓氷さん)

眠れない夜が一つもないようにブルーライトは私が浴びる(田中樹/浅葱さん)

こういう愛の示し方があるんだ…!と思ってとても好きな短歌でした。
そしてブルーライト、青、で樹くんにもしっくり来るの、本当にすごい。

眠れない夜が一つもないように不安を食べるバク派遣します(渡辺翔太/独活部さん)

勝手にアイドル視点と思って読んだので、
渡辺さん、言いそう!!と思ってツボでした。大好き。



碓氷さんの企画「第1回 上+下」にも参加させていただいていたので、できればそちらの感想も書きたい。ゆっくりやります。
こちらの記事の内容について、もし何か失礼な表現などありましたらすみません、そっと教えていただければ幸いです。
その他ご感想などあればお題箱まで。
odaibako.net