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短歌と感想ほかまとめ

2020年下半期 アイドル短歌振り返り

上半期にも書いたアイドル短歌振り返りを、折角なので下半期もやってみようと思います。上半期をやったのに下半期をやらないのは自分がもやもやする、というだけですが、もし読んでくださる方がいたらいいなあ、というきもち。
とはいえ、本当に単なる備忘録というか、自分が後から読んで、ああそうだったなあとか、このときはこう考えていたんだな、と振り返りたいだけなので、短歌をこう読んでほしい・解釈してほしい、といったものではありません。なので気楽に、そうだったんだ~くらいで読んでいただければ幸いです。
ところで、下半期は途中から明らかに作るペースが落ちていました。理由も大体分かっていて、すごくざっくり言うと、評価に気を取られる自分が嫌になった、というかんじです。何かを作って発表するということには、ある程度評価や反応がついて回るものだと思いますが、そのことばかりに重きを置いて、自分は何がしたいか、どういったものを作りたいのか、がよく分からなくなった。
元々創作をするにあたっては、表現したい気持ちを評価されたい気持ちが上回るようになったら止めどきだ、と思っているので、かなりこの感覚が苦しかった。ということをここに書くのもどうかとは思いますが、これもまあ、ひとつの記録として。なんて言いつつ、恥ずかしくなったらしれっと消すかもしれませんが……
今回抜いてきた10首は、そういった下半期の中でも、作れてよかったなあとか、折々に、印象に残っているものです。大体Snow Manを主題にしていますが、ひとつだけ関ジャニ∞のものがあります。
※ちなみに、下半期に作った短歌の数は、短歌197・アイドル短歌208、でした(上半期はそれぞれ70・178)。
こう比べてみると総数は減ってなくて、むしろ増えているのか。体感としては減っているかんじがあったんですが、上半期というか、短歌教室に参加する前がほとんど作っていないので、その分の差かもしれません。

 

 

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20200701
そのひとの不在おそれる手を引いてくれてた春を忘れはしない
・・・九人、春から夏へ

 

春先からずっと、言葉に出来ないままにいて、それでも身の内に留めておくのは苦しくて、吐き出さずにはいられなくて……というものを、少しずつ短歌にしていて、これもそのひとつ。上半期のまとめにも入れた「この春のこと」あたりから繋がっている短歌でした。
不揃いではあっても、今このときに作っておこう、言葉に変えておこう、と思って作ったもの。これを書きながら思い返してみても、たしかにあの瞬間にしか作れなかったろうな、と感じるので、かたちにしておいてよかったなあと思います。

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20200724
またあしたくらいの声でじゃあねって笑ってみせるそれがさよなら
・・・ハーフアニバーサリー特別配信(深澤辰哉)

 

ハーフアニバーサリー特別配信、の、ロシアンルーレットのところのふっかさんがかなり衝撃的だったので……というそれに尽きる。あの「じゃあね」はすごかった。もちろんただのゲームではあるんですが、動作としては結構重たいものであるはずなのに、あんまりにも軽やかに引き金を引くのでびっくりしました。
他の2首もそれぞれに、うわ~となったところから作っているんですが、こう見ると自分がどういう箇所に弱いのかがすごくわかりやすい。印象が軽やかというか、あっさりしていて、大事なところを掴ませないかんじ。するっと抜けて行ってしまうかんじ、をずっと書こうとしている気がします。

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20200812
ひかりあれ、告げられた日を覚えてる足元の影がやけに濃かった
・・・入所日(深澤辰哉)

 

ふっかさんに限らずかもしれませんが、ああいった世界に入る方というのは、ある程度幼いときに、その後の人生が決まる経験をしている。平々凡々とした生活をしているこちらからすると、すごく不思議というか、劇的だなあと感じて、そういった感覚から「ひかりあれ」を使いたかった。このときから新しい世界ができた、というようなイメージ。ちょっと創作っぽさが強めではありますが……
入所日に疎く、あ、そうか夏なのか、とこのとき改めて思ったところも大きかった気がします。夏真っ盛り、一番暑いときだったんだな、と思って。光と影のコントラスト、のようなものを表現出来たらな、と考えていた覚えがあります。

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20200911
いちめんの青とあふれる水音を抱いてはいるがただのひとだよ
・・・お誕生日(安田章大

 

やすくんの言葉や考えに、すごいなあ、と思わされることが多くあります。このときは、お誕生日前日に動画をあげてくれていて、その印象から作ったものでした。
アイドルであっても、一個人であり、ただのひと、と言っても、やっぱり特別だと思ってしまうんだよなあとか、そんな感覚を抱いてしまって申し訳ないとか、こちらの気持ちさえ飲み込んでくれるやさしさとか、そういうことを考えていたのだったかな……
メンバーカラーが青なので、それはどこかに入れたかったのと、やっぱり海の印象が強くて……、そういった要素を合わせてひとつに出来たので、よかったなあと思っています。

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20200916
両手でも抱えきれない花束をほどいてきみの頭上へ降らす
・・・デビューツアー配信決定

 

デビューツアー配信が決まり、そのときの感覚を言葉にしておきたくて作ったもの。3月にライブ中止のお知らせが出て、ひとつ短歌を作ったのですが(祝福がありますように希望とか愛とかぜんぶくれるあなたへ)、そのことを自分ではかなり強く覚えていて、対というか、何か繋がりがあるものに出来たら、と考えていました。
もちろん実際に、生で彼らの姿が見られる(彼らからすれば観客の姿が見られる)デビューツアーを開催したかったろうし、その悔しさ、淋しさ、というものはあると思うのですが、でも、配信というかたちであったとしても、デビュー年に、デビューツアーが出来ること・見せてもらえること、のうれしさ、よろこび、も確かにあるんだよなあと思って……
本当におめでとう、これからもどうか祝福がありますように、と考えて、明るい短歌を作りたかったし、作れてよかったな、と思っている5首です。

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20201001
一万を数えた朝はとくべつに金木犀のかおりがしてた
・・・入所日(岩本照)

 

入所日記念の島動画を観て、ふっとかたちになったもの。このとき丁度金木犀が香っていたので、それと結び付けて、こういうかたちになりました。
アイドル短歌を作るとき、実際の言葉や、写真・動画からの印象をなるべく歪めないようにという感覚と、自分が受ける、そのひとらしさ、のバランスにいつも悩まされています。あんまりにも想像になるのもおかしいし、とはいえ結局創作には違いないし……と考えつつ、どうにかこうにか作っているのですが、この短歌はそのバランスをすとんと落とし込めたかな、と思っています。
それと、ひかるくんのことを言っている短歌でもあり、彼のことを見ている側の短歌でもあり、という、どちらともとれるものになった、のが自分ではよかったかなあと感じていました。本当に感覚の話ではありますが。

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20201018
魔法ってきみが帰らずいることかきみを嫌いになれないことか
・・・君の彼氏になりたい。

 

「君の彼氏になりたい。」@Recording Studioを観て、ひとりずつの印象を短歌にしたいと思って作ったもの。これは個人的にも作っていて楽しかったのでよかったなあと思っています。
「君の彼氏になりたい。」からどことなく、おとぎ話というか、シンデレラ、時間が来ると魔法が解ける、というような印象を受けていたのもあって、魔法、という言葉を入れ込みたかった。それと、はっきり諦められたら、いっそ嫌いになれたら楽なのに、といった感覚が全体にある気もして、こういうかたちになりました。
9人分と、前後に2首、全体の印象から作っているのですが、この「魔法って~」が自分ではかなりしっくり来ていて、なので初っ端に持ってきています。

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20201022
足元が揺れててそれがなんだって言うんだ走れ、振り向かず行け
・・・Snow Man ASIA TOUR 2D.2D. 1022

 

2D.2D.初回公演を観て、そのままがっと作ったもの。感情が先走る中、どうにか言葉にして残しておきたくて、配信画面を消すこともせず、とにかく今、とスマホに打ち込んだのを覚えています。
コンサート全体の印象でもあるし、一番最後にあった挨拶の前後、足元がかなり揺れる中を歩く9人の姿が本当に忘れられなくて、覚えていたかった、というそれに尽きるかなと……
2D.2D.は、別の記事でも書いたんですが、正直受け取ったものが大きすぎて、自分の言葉の追いつかなさに打ちのめされたり、何かを表現することが怖くなったり、というところもかなりありました。その中でも、この短歌はどうにかこうにか、表現したいことをかたちに出来たんじゃないかなと思っています。

(画像なし、ツイートのみ)

 

 

20201110
映し込めこの世の色という色をビルの明かりを手始めとして
・・・20201109 Weibo(深澤辰哉)

 

顔が好き、というのは何だか直截に過ぎるかなという気もするんですが、とにかくふっかさんの造形が好きなのは変わらずにあります。写真や映像を見る度、きれいなひとだなあとよく思う。それで、普段の表情や動きにあるコミカルさが、素に近いところになるとふっと引っ込んで、静かな、少し怖いくらいの印象になる。顔立ちが割と男性的だからかな、と思っているんですが、そのかんじもとても魅力的だな、と感じています。
それと、一度生で(2019年サマパラ)彼を見たことがあって、そのとき本当に強く、どんな雰囲気や色にも染まるひとだな、本人にあまり癖のようなものがなくて、すごく舞台映えするひとだ、と感じたことが根底にあって……、11/9のWeiboにあがった写真が、そういうあれこれを思い起こすものだったので、ほぼ勢いで作ったかんじです。

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20201208
どうとでもなれどうとでも傷ついて壊れたのなら愛せるはずだ
・・・滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie 官兵衛(向井康二

 

滝沢歌舞伎 ZERO 2020 The Movie」、二幕を観ながらずっと、誰かにとっての救いだとか、犠牲、みたいなことを考えていて、そういう気持ちを短歌にしたいなあ、と思って作ったものでした。登場人物ひとりずつ、どういう人なんだろう、と考えていて、正直全部は掴めていないし、表現出来ているとも思えないのですが、9人分かたちに出来たのはうれしかった。
9首作った中でこの短歌を抜いてきたのは、これが一番はじめに出来て、かたちもまったく変わらなかったからです。官兵衛には、どうとでも、というちょっと捨て鉢な、でもどこか諦めきれていないような感覚がずっとあるような気がしていて。
また、自分では、官兵衛を演じる康二くんが本当にすごかった! という気持ちがそのまま出てるなあ、という気がしています。もはや映画の話になってしまいますが、あのぎらぎら揺らいで、危ういかんじ、見られてよかったなあって本当に思います。

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上半期まとめはこちら

hashi-716.hatenablog.com