Snow Manを主題においたアイドル短歌について、上半期に作ったものを数えてみたら合計で178首ありました。アイドル短歌ではない、ふつうの(という言い方が正しいかはわかりませんが)短歌は70首。アイドル短歌、多いだろうなあ、とは思っていたのですが、倍以上作っていることがはっきりして、自分でもちょっとびっくりしました。
短歌は完全に見様見真似で、技巧的にはまったく至らないし、かたちも不揃いだとは思うのですが、なんだかんだと作り続けているのは、自分の中にあるものを吐き出す手法として、とてもしっくりきたからなのだろうと思っています。もちろんうまくいかないこともあって(というか大抵うまくいかずに頭を抱えている)、もうやめよう、と思うことも多々ありますが……
普段あまり、作った短歌について何か書く、ということはしないのですが、書き残しておくことで、あとから見返したときにそのときのことを思い出せたり、自分の考えがどう変わったか・変わらなかったかがわかったりもするのかな…という気がしたので、試しに書いてみようかと思います。
対象は、上半期(1〜6月)に作ったアイドル短歌から10首。あれこれ雑多に作っていたので、抜いてくるのも完全に自分の主観というか、その時々で印象に残っているものにしました。作った時期は一応、半年の中である程度散らばっているかとは思います。
以下、作っていたときに考えていたことなど、思いつくままに書いています。けれど、あくまで備忘録のようなものなので、そう読まなくてはいけない、というわけではありません。短歌を見てくださる方には、思うまま受け取っていただければと思います。
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20200201
単純なゲームで笑うきみたちは人を傷付けないからすきだ
・・・九時間生配信
九時間生配信がほんとうにうれしくて、楽しくて、アーカイブが消えてしまったのが悲しくて、そういういろいろを覚えていたくて作っていたもの。5首セットになっていて、今見ると最後の1首は完全にアーカイブが消えたことを嘆いてますね……
ゴイゴイスーゲームの誕生と、げらげら笑いながら夢中になって遊ぶひとたちを見て、ああ、このひとたちすきだなあ、と思ったのを強く覚えています。このゲームだけでなくて、他のときにも、基本的にひとを傷付けるようなことを言わない・そう取られるかもしれないことがあったら本人もしくは周りが気付いてフォローする、という体質が皆にあるな…と思っていて、彼らをすきなのは、そういうところにもかなり拠っています。
ちなみに、あとから気付いたのですが、前に「くだらないゲームで笑うひとたちを海辺の金貨みたいに見てた」というアイドル短歌(関ジャニ∞)も作っていました。つくづく自分の好みがわかりやすい。
20200216
眠らない街をステージ上として夜間工事はバックバンドで
・・・お名前入り短歌(向井康二)
夜間工事に行き合ったとき、工事…こうじ…康二くん、夜間照明…照らす…照くん、という言葉遊びを思いつき、お名前の音を入れた短歌を、折角なら9人全員分作ろう、と思って取り組んだもの。(詳しいことはメイキング記事にも書いています)
お名前の音をお借りするのがなかなか難しく、やり始めたのはいいものの、途中で何回も諦めかけては気を取り直し…としていたのを思い出します。特にあべちゃん(りょうへい)とだてさん(りょうた)で苦戦していました。
康二くんの短歌は、そもそもの取っ掛かりであったこともあって、かなりはじめの段階で出来上がった印象です。それと、書きたいものがあまりぶれなかった。一般的な短歌の作りや、出来としてどうか、というのは置いておいて、個人的にはかなりすきに、満足がいくものを作れたかなあ、と思っています。
20200302
両替はしなくてもいい三枚の硬貨があれば事は済むので
・・・クレーンゲームが得意な人(深澤辰哉)
それスノの、ひとりずつの紹介がとてもすきで、そこから膨らませて作ろうと思ったもの。あとから全員分セットでも作ったのですが、これはプロトタイプというか、ふっかさんにフォーカスをあてて作っています。
アイドル短歌を作るのに、それまでは割と自分の中にある感情にかたちを与えていくというか、主体が自分であったのですが、この短歌は割と、ふっかさん自身、をイメージして作ろうとしていたように思います。なので、作りながら、これでいいのかな?大丈夫かな?と不安に駆られたところもあったのですが、出来上がってみると、それなりにかたちになったかな…と思えて楽しかった。
たぶん、それまでより創作的なかんじがしていたのかな?と今になって思います。ちょっと違うものを作れた気がして印象に残っている短歌です。
20200319
祝福がありますように希望とか愛とかぜんぶくれるあなたへ
・・・三月ライブ中止のコメント
ライブ中止、ああいう状況であったので、だめな可能性もあるよな、とは自分に何回も言い聞かせてはいたのですが、やっぱりいざ発表されると苦しかった。ただ、中止として、コメントを出さなければならない側、何よりライブがしたかったであろうひとたちのことを考えると、もっとつらいな、とも思って…それでも彼らのコメントが、とにかく早くて、それでとても救われたようなきもちになったのを、よく覚えています。
この短歌もほぼ反射的にというか、とにかく何かかたちにしたくて、覚えていたくて、作っていたのじゃないかなあ。日にち的にそうですね。こうなってくると、短歌というより書きつけた祈り、みたいなかんじもします。衝動が強いというか。
ただ、だからこそ、今でも何かあるとこの短歌を思い出します。彼らがとにかく幸せでありますように、と願うたび、結局ここに行き着いてしまう。いちばん根っこにあたるような短歌なのかもしれないです。
20200328
当たり前じゃないんだなって繰り返すはしゃいだ声も春のにおいも
・・・めめ日(目黒蓮)
めめさんの日記がとてもすきなのですが、この月のものはほんとうに、どうしたらこういう風に書けるんだろう? と思って…
めめさんを見ていると、ひとってこんなに真っ直ぐに、真っ当であれるんだ、といつも新鮮にびっくりします。子どもみたいに純粋に、だめなものはだめ、いいものはいい、とちゃんと分けられるまっとうさ。それを言える強さ。でも、そう出来ないひとがいることも分かっているやわらかさ。押しつけないやさしさ。
それで、すごいな、いいなあ、と思って、短歌にしようとして、こうなった…のだと思うのですが、いかんせん大元の文章がほんとうにいいので、何を作っても蛇足にしかならなかったような気がします。でも、すごくすきだな、と思ったことはこうして残せたので、これはこれでいいのかな、とも思っています。
20200331
ぐらついた足場のような世界でも生きるよ、生きる、まっすぐ生きる
・・・この春のこと
この春はいろいろとあって、わたしはいまだにうまく感情と言葉を結びつけられないままにいます。そんな状態で無理矢理何か書くのも違うのかな、というのがずっとある実感。加えて、一度にたくさんの言葉を見て、その言葉で傷ついているひとも見て、そうしたら、なんだか自分も不用意なことを言って誰かを傷つけてしまいそうで怖くなった。
なので、あまり言葉にしないでおこう、とは思っているのですが、それでもやっぱり、なにか書かないと、吐き出さないとつらくて、とにかく言葉にしたくて、それで作ったのが「この春のこと」でした。
中身については、まだぐちゃぐちゃで、なのでここでは書かないでおきます…ここに挙げておいて何を、というかんじですが…同じくくりの短歌もいくつかあって(春が終わるまえに・まぶしい日を待つ・夏至、昼がいちばん長い日に)それについても、あとになって、言葉にしたいな、と思ったらするかもしれないです。曖昧ではありますが…
20200502
この羽は生まれたときにはなくってね、今は大事に育ててるとこ
・・・入所日(ラウール)
らうちゃんについて、ほぼ天使、と言われていたことがもうずっと忘れられずにいます。入所日にあたって、それをどうにか短歌にできないかな、と考えたときに、ふっと翼を持つイメージが浮かんで、そのままつくりました。
生まれたときから翼があったのかどうか、ということを、結構最後まで悩んでいた記憶があります。それでも結局、途中から生えてきた、というような短歌にしたのは、入所日という、彼の人生においてかなり大きな選択をした日にあてたものだったからでした。
はじめから何もかも持っていたわけではなくて、選択の繰り返しで、そうして彼はここにいて、さらにまた高みを目指している…ということを考えていたので、「大事に育てている」としたのでした。かなり抽象的な表現になったな…とは思いつつ、作れてよかったな、と感じています。
20200517
ひりついた痛みもいつか見た夢も残さず誰かに渡したかった
・・・お誕生日(岩本照)
お誕生日の短歌は、基本的に下のお名前の音ひとつずつから始まるものにしようとしています(ひかるくんなら、「ひ」「か」「る」それぞれから1首ずつ作る)それで、「ひ」という音に何を当てよう…といくつか考えたのですが、途中で思い浮かんだ「ひりつく」という語が頭を離れずに、それでどうにか短歌を、と思って出来上がったものです。
ただこれはどうしても、語の持つ印象が強いというか、痛みを連想させるかな、と思って、違うものにすべきか、ということには、最後の最後まで悩んでいました。でも結局諦められなくて、このかたちになったのは、SODAのインタビューが頭にあったからでした。
振付を考えるときには「出会った場所や伝えたいけど伝えきれない思いとかを考えて、情景を作っていく」、伝えたいけど伝えきれないというその感覚がとてもすきで…その、伝えたい思いには、喜怒哀楽いろいろあるんだろうな、と思い(これはあくまでわたしの想像ですが)それなら「ひりつく」も入れたい、入れよう、と決めてこのかたちにしています。
20200612
コンビニで売ってる星を知っているたまに逃げ出すらしいのだけど
・・・素のまんま「星のピノ」
6/11素のまんま(向井康二・目黒蓮)で康二くんの言っていた「6個入りのチョコのアイスあるやん、箱のね 赤いやつ」「あれに星のアイスが入ってたときくらいうれしい」という言葉がほんとうにすきで、とってもすてきだな〜…!と思ったところから。
これも本当に、ご本人のたとえ、感情表現、言葉のセンスがすばらしくて、それに支えられているものだな、と思います。とってもいいなあ、すきだなあ、と思うきもちを残しておきたくて、覚束ないながらもどうにか短歌のかたちにした、というか…
5首セットで作ったので、「星」という語を1・3・5首目に入れて揃えてみたり、ピノという固有名詞を出さずに、でもそれを思い起こせるようにしたいと悪戦苦闘したり、とあれこれやっていたのを覚えています。作っていてわくわくしたし、楽しかった短歌です。
20200614
かなしみはなくていいです出来るならずっとやさしくあってよ、世界
・・・やわらかであるひとのこと(深澤辰哉)
お誕生日と同じく、「ふっかさん」という言葉の一字ずつをとって短歌を作っていったもの。それスノを見て、ちょっと複雑なきもちになったりなんだり、ということがあって、いろんな感情を持て余して作ったのだったと思います。
これも5首セットで、1・5首目はふっかさんに宛てるかかたち、2・4首目はふっかさん側によるかたち、と主体を変えています。それで3首目、丁度真ん中にあたるこの短歌は、どちらにも取れるようにしたつもりでした。
この短歌連作は一度全体をかんたんに組み立ててから、何回か作り直してこのかたちに持っていったのですが、この1首だけは最初から最後までほとんどかたちが変わりませんでした。なのでいちばん核になる部分だったのかな、と思っています。