0903
アイドル短歌ワンドロ:視線
からっぽの観客席に向けられたきみの視線をまだ覚えてる
いいものを見てるみたいに笑ってた幾千という光のなかで
まばたきは小さな合図 ハロー、世界。あなたはどこにだって行けるよ
0905
ほほえみデート
ここからは遠いところでよかったね思い出すだけでもまぶしくて
終わってく夏のにおいが喉元に かなわないって思い知りたい
ごめんねは聞こえなかったふりだって出来たろうにね へたくそだった
薄情なぼくらは繋いだ手のひらの温度でさえも忘れてしまう
溶けていくアイスクリームおそらくはもう戻らない風景として
0909
わたしの宝物(冬月稜)
あ まつげ 斜め後ろで見るきみのゆるい稜線が好きだった
人の手がこんなに熱いんだってこと知らなかったなこの唇も
触れないもののたとえとして遠く仰いだ先にある冬の月
0913
アイドル短歌ワンドロ:好物・趣味
好きそうな光とおもうアスファルト上にこぼれる夏の終わりの
そんな写真あったっけって笑うかな あなたの写すものはきれいで
きみみたく世界が見たい ためらってそれでも押したシャッターボタン
0921
BAILA11月号表紙
大きめの上着をゆるく身にまとう秘密はいくつ手のなかにある
湯上がりの熱よりもっと低温でそのくせ長く残ってしまう
あとにして、ぜんぶ、なんでも ぱたぱたと落ちる雫を目で追っている
0922
SUPER EIGHT/関ジャニ∞ 全国デビュー日
スーパーで買った安めのお酒でもバカデカジョッキで飲めば格別
いつだってえいと魔法をかけるのはきみだってこと知らないでしょう
超超超いくつ付けても足りないよ両手いっぱいあふれる愛を
8の字をゆっくり描く終わらないものはないってわかっていても
大切な名前は予測変換にまだ残ってる 消えてくれるな
0923
アイドル短歌ワンドロ:擬音語・擬態語
ぱちんって瞬くきみの1秒で今日も明日も夜を越えてく
ぼろぼろと零れる涙もそのままに画面を見てた静かな春を
本当はずっとあなたを呼んでいたぱちぱち叩く手のひらの熱
ひらひらと溢れるほどの紙吹雪これもひとつの祝福だろう
ぱーんって大きな声で言ってみる手振りもつけるまた生きてける
0924
題:ほくろ
まだ知らないことはいくつも残っててたとえばきみに星座はあるか
首筋と指先、あとはシャツのした ほくろの数だけ不埒になった
散りばめたひとつひとつが持つ座標なかったことにしないでいてよ
0929
確かめるようにその名を口にして間違いなんてなんにも 今も
さらさらとこぼれ落ちてく砂時計もっといたいと思い込んでた