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短歌と感想ほかまとめ

log:201905 短歌

ひんやりと冷えてく手先まっくらな明日以降を愛せなくって

こうすればああすればって言われてもそうなれなくてここにいるのに

憧れで大好きなひとだからこそ隣にいると消えたくなった

空回る言葉ばかりが口をつき早く帰って寝たいとおもう

わかってはくれないきっと線引きがここにはあってあなたは向こう

@ tos @ tos って繰り返す 気付かないで、気付いて、傷付く

なにひとつ認められない僕だからここに立つにも許可証が要る

さみしいとおなかがへったを間違えてぬるいごはんを食べながら泣く

さみしくてかなしい人と慣れなくていつもひとりで平気になった

‪手を組んで体を預け笑い合う三人でいて私以外が‬

起きながら寝ているような毎日を打破してくれよ走れ稲妻

ぬるま湯で生きていたくはないでしょう 目を覚ませ、今 生まれ変わるよ

言葉でいようと語ったひとのこと思い出してる駅のホームで

人並みになりたい 絵の具ぶちまけたような交差点の中にいて

原因の分からぬ微熱持て余す倒れることもできないままに

身も世もなく求められたらよかったね 予定調和で全部さよなら

稲妻に打たれてみたいこともある 生煮えのまま終わった日には

舌先に乗せれば消える綿菓子のように切ないものでありたい

山手はのっぺらぼうを詰め込んでぐるぐる回る誰も降りない

(めんどうだ)(きらいだ)(いやだ) 灰色の吐息が腹に詰まってみえる

いまさらと思えどやはり腹は立ち いつまでだって許せずにいる

誤魔化して笑えばすべて済む話わかっていても出来なくて詰む

喉の奥、に何かが住んでいる、ぼくの言葉は突っかかる、いつでも

くろぐろと広がる窓に映り込む絵画みたいに物言わぬわれ

まっくらな電車の窓に映り込む人はいつでも物言いたげに

歯の立たぬ相手と知っていてもなお手を振り上げる愚図でありたい

日が沈む前だけふっと現れる彩度の欠けた街の居心地

人と目を合わさず無理に乗る電車冴えない日々を浪費していく

手のひらにあるもの何も愛せずに 隣の人のポケット覗く

新宿に根を張る柳たくましく夜更けに化けて出るなど古い

青々と伸びる枝葉は生い茂り空ばかり見る図太い柳

包まれていれば絶対安全と信じさせてよぼくの綿毛布

羽布団かぶってすぐに消えられる特殊装置と思って眠る

くたびれた布団にどっと倒れ込む許されたくて消えちゃいたくて

のうのうと生きていること許せずに昼のテレビをぶつんと落とす

ひとびとのざわめき遠くちらついてきらめくものを疎ましく見る

そうです、も ちがいます、とも 答えたくなくて傾げる首はななめに