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短歌と感想ほかまとめ

log:202209 アイドル短歌

20220903
Snow ManJUICY

重たげに瞬くネオン現世でもっとも明るい夜へようこそ
円卓についたぼくらが平らげてゆくのはこの世にあるものすべて
噎せかえる匂いは甘い 熟れすぎた実は音もなくだめになってく
物騒なこともしたいね(なんて、うそ)かろやかに吹く夜の口笛
生ぬるいシャツを肩からすべらせる今日はどちらの手のひらの上
目の前で踊ってあげる その代わり何が欲しいか言ってごらんよ
ひそやかに肌へ宿した刺青はいつの夜よりくらく滲んで



20220903
ワンドロ「一」または自由詠

人生のほとんど一緒にいたはずの人とはぐれて自由をもらう
一度しか口にしないからよく聞いて あなたは不幸になってはならない
祈りとは暴力でありおそらくはある種の安眠装置ともなる



20220904
Snow Man ラウール(TGC 2022 A/W)

からっぽの器が割れる夢を見た。なかったはずの中身をこぼす。
傷つけず何も汚さず生きるには意志を持ってる体が邪魔だ。
物言わぬ人形じゃない。飛び散った硝子を踏んでも踊り続ける。



20220905
ほほえみデート

ごめんねときみは言ってた そんなことばかりいつでもよみがえるんだ
つながない手だけ残してこの夏もおんなじように暮れてしまうね
泣いちゃった顔をほんとはもう少し見てたら今も覚えてられた
ひらかないスケッチブックの真ん中できみの字だけはしずかに眠る


20220907
Snow Man 深澤辰哉(GINZA 9月号)

どこにでもいるけどいない指先の揺らぎで全部変えちゃえるひと
すききらい花占いの気軽さで欲しがるとおり染まったげよう
ポケットに隠してるのはビスケット、もしくは一等おいしい秘密
上等の生地をまとった素肌こそひときわ艶を抱いてみえる
まだ少し今日は暑いね 息を吐き笑った声に安心したい
愛のこと話してまぶたをひらくときすら保たれるきみの平温



20220913
ワンドロ「ふたり」

お客さま、ふたり、と数えてもらえてる ほとんど自分な人間といて
定員はおそらくひとりの寝台に眠ったふたりの夢は重なる
お互いの背にしかふれずにいたために幸いどうにもならずにふたり



20220919
Snow Man 深澤辰哉(Men's PREPPY + vol.3)

欲しがっているのはそっち 眼差しがやわく絡んだ肌の危うさ
古ぼけたコンクリートに落ちかかる影が夜ふけの色に溶け出す
指先にありとあらゆる幸いを引き寄せていくあなたは無敵
まばたきのたびに光を帯びている 両手いっぱい素敵をあげる
かろやかに横断歩道の白いとこ踏んで渡った季節の終わり
よく見てね、タネも仕掛けもありません。星が隠れているのはどっち?



20220923
ワンドロ「道」

道順をうまく話せるようになる都内にずっと住んでる顔で
路地裏を抜けていったらぼくじゃない生きものでした ってたまに見る夢
泣きかたは忘れちゃったな 道化師の嘘かほんとかわからない声



20220925
SnowMan 深澤辰哉(9/23Mステ JUICY

口笛の吹きかた体の使いかた 秘密は熟れた果実のにおい
(案外ね、こんなことまで出来ちゃうの)狙ったとおり片目を伏せる
指先でかたどるものを見てしまう僕のなぞった肌は震えて



20220927
SnowMan 宮舘涼太向井康二(9/27すの日常)

端折らずに暮らすあなたは大盛りのパスタでさえも丁寧に巻く
喋っては笑っておなかいっぱいになる瞬間も似ているふたり
毎日をこなす僕らにごちそうを、思い出してはぬくもるものを


20220928
SnowMan 深澤辰哉(CLASSY. 11月号)

落ち着いた声で笑ってゆっくりと伏せた睫毛の影は濃かった
定位置で一杯だけのアルコール ほんとのとこはあとで話すね
好きなものばっかり食べる休日をとくべつねってこっそり許す
昨日よりあわい光が射しかかる部屋でねむたい手遊びをする


20220929
空白をおそれて回る舌先をあなたが噛まなきゃいいと思った。なんだって与えてしまえる人間を全身ふやかす権利がほしい。だめにすることは許されないとして慈しむのは傲慢ですか。


20220930
ワンドロ「降」

いっかいも振り返らずに降り口の向こうへ姿を消したそのひと
降参のつもりであげたおれの手をおまえは何の気なしに掴んで
降りかかる火の粉も指のひとふりで紙吹雪へと変えてみせるよ