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短歌と感想ほかまとめ

雑記:滝沢歌舞伎ZERO 2022(新橋演舞場)

  • 歌舞伎は今まで円盤と映画、配信でしか見たことがなくて、はじめて生で見たんだけど、生で見ることが前提なんだなと改めて思ったというか、肌感覚としてすごく感じた
    映像では納得しきれないというか、無意識に理由とか背景を求めてしまってすっと入ってこないものも、同じ空間にいる人の圧、息遣い、そもそも人の体のかたち、動かしかた、それそのものの美しさ、を前にすると、理屈は抜きにまずこれを見せたいんだな、この感覚を持って欲しいんだな…と思うというか
  • たとえば腹筋太鼓ってすごいとは思うんだけど、映像で見ているとふっと我に返ってしまうことがあって(何をやってるんだろう…?みたいになる)でも実際そばで音、体の動き、表情、を感じていると、想像以上に圧倒された
    体の美しさ、動きのしなやかさ、は生で、そこにいる人、を見てはっきりとわかることがあるんだな〜というのがすごく個人的には発見だった
    座席的に、座ってそのまま、視線の行く先がひかるくんの背中だったのだけど、ほんっとうに体が美しくって 肩甲骨の正しい位置と形はここなんだな、と思うというか あと肋骨と脇腹のあたりの、骨…?出っ張り?もはっきり見えたんだけど、あれなんなんだろう…人間ってそこ凹凸できるんだ…と思った
    正しく骨があって、筋肉が無駄なくついて、その他の肉と皮もあって、ていうのが それがまた正しい動きをしているのが 詳しくないけど見ていてすごく気持ちがよくて、美しいなあと思った この感覚は映像で見ているときにはあんまりなかったな〜という気がする 少なくともわたしは映像だとうまく受け取れなかったんだろうなあ
    ひかるくんさすがだなと思ってびっくりしたこと以外だと ふっかさんしょっぴーがひかるくんとからうちゃんとかの先にいるのが見えたんだけど その遠目でもふつうに肋骨がうっすら浮いてるのが見えて 筋肉もついているけどいやでもとにかく華奢…ごはんたくさん食べて…と思った もう何目線なんだかわからない
  • ふんわりとしたふかざわさんの話 やっぱりあの人の 舞台に立っているときの気配、雰囲気、その場への居方、がほんとうに好きだなと思う 感情の揺れ、が見えないわけではないのだけど 手触りがさらっとしていて するすると切り替わる
    さらっとしていることでかえってこわいな〜と思ったのが「Into the sky」の殺陣で 人を斬っていくのにほぼ感情が見えないこと
    以下、これはとてもよかった、と思って言うことなのだけど
    動きも滑らかで無駄がないから斬ったり刺したりしているのがわからなくて 最後の方、後ろから深々と刀を突き刺して、刀や体が赤く染まって見えてようやっと、ああこのひと、今人を殺したんだ、とわかるかんじ
    刺すことの、痛み、重み、苦しみ、を表現することより なんとも思ってないことの表現のほうが強いというか いかに無駄なく動いて倒すかみたいな 動きの美しさというか そういう表現が似合うなと思った
    あとほんとラップ格好よかった…とてもいい…深澤さんの声のかんじ好きだな〜としみじみ思う 耳に心地よい なんかあの歌うときのかんじもあっさりしてるんだよなあ 気負ったところがなくって 高くもなく低くもなく
    新曲のもそうで 動きがなめらか、やわらかくって、さらさら流れてくかんじ 風とか水とかそういうイメージ 蛇口を捻って出てきた水に手をかざして、触れられるように思っても掴めない、みたいな
    軽々やってしまうから簡単そうに見える、力を抜いているように見える、ってこういうことか、とすごく思った 本当にはすごいことというか、難しいことをやっているのだとしても、そう感じさせない雰囲気があって

    ★以下、全体を通して思い出したところ

  • ひらりと桜、はじまりのばっと花吹雪が落ちてくるところ、ほんと生で見ると余計、重量!!ってかんじがあってすごい 花びらが多い あとから落ちているのを拾って見たらちゃんと花びらの形してるのね…すごいな…
  • ひらりと桜の 最後の方でこーじくんがちょっとうしろのふっかさん振り向いて アイコンタクトして笑ってるかんじあってとてもよかった 気のせいかもしれないけどまあしてたと思う
  • ITSUKA、お姉さん侍らせて出てくるめめさんの衝撃がでかすぎる ひとりずつ出てくるのとせり上がる?上下する?セット格好よかった あとなんか初っ端から出演者総出なのでいきなりクライマックス感がある
  • めめらうちゃんふたりのやつ、格好よかった 黒白 スタイルが鬼のようにいい でもなんか途中じゃんけんしてる?のめっちゃかわい〜 衣装がふわっとしてて、らうちゃんが自分の服の裾を摘んだままめめさんの肩に手を置いて向かい合って、体が服でふんわり隠れるのよかった きれい
  • Into the skyの 殺陣と歌・ラップがゆり組さんとふっかさんでも〜〜めちゃくちゃ好き…てなった かっこいい〜!!個人的になんの感情もなく人を斬ってくように見える深澤さんがほんとに最高すぎて まじで無の顔なのと動きがなめらかすぎてえげつなさがないのがかえってめちゃくちゃに怖い とてもよかった
  • 変面、きれいだった 動きに無駄がない 変面に限らずだけど、ひかるくんの動きはいつでも正解というかんじがあって美しい ただちょっと思ったのは、変面自体は結構映像向きなのかも 生だと角度的に見えないところがあるので… 固定カメラで置いておいて、ずーっと見てるのに一瞬で変わって、今何やったの…?ってなるのがいいのかな…
  • my friendのあべちゃんとこーじくん、ハモリめっちゃきれいね…てなってた 声の相性いい〜 高低うまく噛み合ってていいんだな… しかしこれさくまくんもずっと動いててすごいし、見るとこいっぱいあってぜんぜん消化しきれなかったな…
  • 新曲もよかった〜ふかざわさん動きなめらか…なんか難しいことやってるんだろうけどあっさり見えるというか、苦しそう辛そうに見えない、さらっとやってるかんじがするの、いつもながらすごいなと思う あと深澤さん歌割りのとこ「どこへでも行ける」っていう歌詞が多分あってそれがすごく好きだった
  • あと新曲、こーじくんの衣装すごく好き、ベストにフレアパンツかな?かっわいい〜すごく似合ってた
  • 創作歌舞伎のあたり、やっぱりだてさんすごい動きがきちんと重くていい 好き〜 あとお顔がはっきりしていてすぐ見てだてさんだ!ってわかる安心感 ふかざわさんも結構わかるんだけどこれは鼻筋で判断してるな、と自分で気づいた すっと通ってる
  • 連獅子はもうよくわかんないんだけどおめでたさがすごかった 圧倒的(あとこれはもう演出というか演目の都合なのであれだけど、花鳥風月は映画とかのあの印象が強いのでそれはそれで生で見たいね…と思った 個人的には)
  • 二幕、やっぱり基本がメタな笑いなんだよな…となる 登場人物紹介が加わってはいるけど今までの流れというか変遷がある程度頭に入っていること前提だし まあいきなり歌舞伎だけ見にくるっていう人もそんなにいないだろうからってことなのかな…
  • 生で見てみると、最初の方のあれこれはとにかく、最後の大立ち回りを派手にやるためのものなんだな…というかんじがして、映画で見たときの辻褄の合わないかんじというか人物たちの行動動機が読めなくて若干モヤっとするかんじが薄れた(そもそもあの話に辻褄を求めるのがだめなのかもしれないけど)
  • あとなんだろ アドリブありきというか、舞台の、その日そのときの展開のおもしろさ、一度しかないもののよさ、を重視してるんだろうなと思う だからある程度設定とか背景がふわっとしててもよいというか 瞬発的なおもしろさを生む仕掛けというか
  • 話とか登場人物的にはなんか銀さんが個人的にはすごく好きだったな…しょっぴーはメタな笑いをやる匙加減がうまいのかもしれない ツボを押さえてる
  • こーじくんはほんと悪いお芝居やると凄みが出ていいなと思う なめらかだった〜
  • 徳俵さんが旗本っていうのをちゃんと認識したんだけど、旗本がわざわざこんなとこ来てこんなんしてていいの?!ってなったな いやだからそういう辻褄を求めちゃいけないんだろうけど…
  • お丸さんはなんか、安定してたな…動きがコミカル…そういえば鼠さんのお葬式の喪主やってたけど、あれも冷静に考えると結構謎で、喪主って大体身内がやらないか…?ってなるけどなんなんだろ これもまあ辻褄というか細かいとこ言い出したらキリないのであれなんだけど
  • 水を使った演出、客席にいても最初からわりとずっと寒さを感じたので、動くとはいえあれ演者絶対きついなと思う 風邪ひかないでね…
  • WITH LOVEで横一列になるとこ、あべちゃんとこーじくんが目を合わせて笑ってて うれしそうに大切そうにするからほっこりした…おだやか…
  • いつも深澤さんばっか見ちゃうとはいえWITH LOVEはそれに輪をかけて深澤さん見ちゃうな…と思う きれいすぎて 映画だっけ去年の配信だっけ、いちばん最後手元が抜かれたの深澤さんだったな〜て思い出してた
  • 深澤さんの 遠くを見るような目が好きなんだな〜と思う 中にいろんな感情があったとしてもそれをひとつくるんで、やわらかいものに変えて、ふわっとおもてに出すかんじ そこにいるんだけど触れないかんじ でも冷めてるのではなくて体温はちゃんとあって、ていうバランス 好きだな〜と思う