0905
消えちゃったほうがいいほど不幸だと信じたいのに鳴ってるおなか
自分から漏れる嗚咽の音程がわざとらしくて許せなくなる
ハイターにつけるわたしも水筒もちょっとはましと信じたかった
0910
ぬるまったビールがジョッキを満たしてる飲みきるまでは一緒にいてよ
生ぬるい九月の夜は夕立か涙の前の気配に近い
あとちょっと話してたくて走ったら間に合いそうなバスを見送る
0912 お題:ライブハウス
ステージの上に舞ってる塵は白この一瞬をおぼえていたい
注がれた音が呼吸やまばたきのたびに溢れて残さずひろう
天井へ伸ばした腕が原色に染まるはしから生えかわる皮膚
・
照明が切られるまでのざわめきを音響として愛おしく聴く
その指をあなたの声を伏せられた瞳をいつか忘れたとして
0930 #短歌で景色標本
わがままとなじっておいて絡ませた指はほどかずいる長い夜