20201102
低空飛行
なにひとつうまくならない早起きもこんにちはって一言すらも
しゃくり上げながらここからどうやって泣きやむべきか考えている
なんだって平気な人だと思ってた に笑ってみせちゃうからか、敗因
乏しさを照らされるのがこわくってまぶしい人を避けて通った
頼りない言葉が口からこぼれてく拾い集める気にもなれない
20201107
カタカナばっかり
ファミレスのバックヤードから流れ出す冬の吐息の大きいバージョン
間隔をあけて並んだひとたちはのろのろ進みロトを手にする
ルミネ五階あたりで一度破綻して人があふれるエスカレーター
アルコール除菌はこれで三回目なんにも触ってない指を揉む
からからになった瞳を伏せている向こうで点滅してるサイネージ
20201115
ありふれた悪夢
踊ってよ、表で怒鳴る声がするどんな人だか覗きそこねた
休日に会社最寄りへ来てしまうターミナル駅はこれだからやだ
今週も何かいいことありました、あたりでないよと返す土曜日
職場には不向きな服を積み上げて体はここにひとつしかない
一限がプールな夢を見て起きる壁にうつった夕日が憎い
20201120
ぎしぎしとエレベーターが鳴っていてわたしはどこに辿り着くのか
すべからく眠りについているらしい白い扉の鍵を回した
浴槽に深く湯を張るこの部屋でいかに暮らすか考えながら
カーテンを開けばどこかの街があり見知らぬ日々が始まっている
はらはらとこぼれ落ちてくパン屑を残さず拾い集める午前
ひとつきもすればここには来られないルーフテラスに風吹き抜ける
街並が姿を変えていくだけか、ものが崩れてなくなるだけか