2021年に行った美術展は30、舞台・ライブは25でした。
以下、感想ツイをベースに時系列でまとめています。
※各月、「・・・・・」区切りより下は配信ライブなど
1月
眠り展:アートと生きること(国立近代美術館)
- 2020年はまず長崎県美術館でボルタンスキーを見て、今年はこの展覧会に行ったので、2年連続で年初から生と死にまつわるものを見ることになった
- 眠りはすきなモチーフ 河原温の作品が特に印象的だった、「I Got Up」シリーズ
MOMATコレクション 特集:「今」とかけて何と解く?(同上)
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日食なつこ 3ヵ月連続配信ワンマンライブ 第三弾 「ミゼレーレ」1/19
- ミゼレーレ、言葉にすると小綺麗にしてしまいそうで結局しばらくぎゅっと自分の中に持っていることにしたけど ほんとに、とてつもなく大きいものを渡してもらった気がする
- うっすらとした不安 不透明感 みたいなものがずっと根底にあって 元に戻るのかとか考えるのも怖くなるけど かといってそれで立ち止まっていてたまるか、くそったれ、と思ったりした 目が覚めたみたいに
ADAM at INST-ALL Streaming Live Vol.1 1/25
2月
没後70年 吉田博展(東京都美術館)
- 描写も色味もここまで繊細に描き出せるんだなあと思って、いつまでも見ていられそうだった
- 色の選びかた、画面から伝わる雰囲気、がとにかくすきで どことなくあせたような、描かれてから時間の経った水彩画のような色
- 解説を読んでいたら「桜や藤など主題になりそうなところをぼかして、橋や池に映る影などを緻密に描いているのが吉田博らしい」というように書かれているところがあって面白かった
花の輪郭は淡くてふんわりしているのに影は何層にも塗り重ねられているみたいだった
- 写生帖もいくつか出ていたけれどそれもすばらしくよかった 木版画や水彩画として仕上げられたものとはまた違う魅力があるなあと思う
とにかく対象を見る目が確かなんだろうなと感じて圧倒された すごーくよかった
企画展「がまくんとかえるくん」誕生50周年記念 アーノルド・ローベル展(PLAY! MUSEUM)
- がまくんとかえるくんのスケッチや原画がたっぷりで見応えがあった
制作途中のやりとりがとても面白い ものを作る工程をじっくり見られたのがうれしかった
言葉や絵を丁寧に練っているのがよくわかる
- アニメーションもすてき!その他の絵本や挿絵もたくさん見られて充実してる
- 絵本や挿絵の、絵柄の豊かなことにもびっくりした どれも読んでみたくなったな
がまくんとかえるくんも読み返したい
- がまくんとかえるくん、楽しいことばかりじゃなくて、いやだなあとか、さみしい、はずかしい、情けない、みたいな感情も書いてあるんだよなあと思って
生きているとどうしたって出くわす、ままならなさみたいなもの そういうところがすきだなあと思い返していた
Retrial:実験室(品川プリンスホテル クラブeX)2/12 18:00
- ダンスとコント、格好よさとおかしみ、正気と狂気、日常と非日常 全部が地続きにあって、何が本当かわからなくなる
- 笑っている途中で我に返ってしまう怖さ、悪夢だと分かっているのにどうしたって目を覚ませない怖さ
- たぶん今現在かちょっと先くらいの時代に生きるひとたちの日常の 描きかたというか、あ〜こういうことある…ていう加減がほんとに丁度よくて それがまたゆるやかな悪夢のようでもあった
(たとえば初めて行くアルバイト、その場限りの人間関係、上手くできるひと、そうじゃないひとたちの上滑りする会話)
マシーン日記(Bunkamura シアターコクーン)2/20 13:30
- 登場人物の誰ひとり思考が理解できなかったのは恐らく初めてだった
何が救いなのか未だにわからない
- 狂ってしまえば自分はそのことに気がつかないから楽だな、半端に理性が残っている方が苦しいし怖いな、と思いながら見た
3月
電線絵画展-小林清親から山口晃まで-(練馬区立美術館)
- 電線に注目して絵を見たことがないから面白かった
個人的には電線があるちょっとごちゃついた風景も好きだなあと思う
- 川瀬巴水と吉田博の違いは電線を描くか描かないか、といった解説があってかなりツボだった
川合玉堂―山﨑種二が愛した日本画の巨匠―(山種美術館)
- 山種美術館に行くのも川合玉堂の作品をまとめて見るのもたぶんはじめてだった
- 描かれるものはどれものびのびとしていて、特別に飾り立てられることがなく、見たままの自然を愛していたんだろうなと思う
Sato Sakura 桜百景展(郷さくら美術館)
- この数年、春には目黒川の桜を見に行っていたけれど、今年は難しいだろうから、ということで
- 一度にたくさんの桜の絵を見ることができるのでほんとに圧倒される
桜を見ると、美しさと同時に、少しだけおそれのようなものを抱く
ライゾマティクス_マルティプレックス(東京都現代美術館)
- 理解することは正直早々に諦めてしまった たぶん仕組みがわかる人の方がより楽しいのかな…
- 音と光の中にいるのは心地いいのだけど、特に後半、システムの中に自分が組み込まれる感覚があってそれが新鮮だった
マーク・マンダース—マーク・マンダースの不在(同上)
- 理解できないというより理解するのが怖い、という方が近いかもしれない
はじめから終わりまでずっと不穏な気配があって、見終わってもしばらくぼんやりしていた
不完全なかたち、崩れそうな均衡
- ビニールの薄い膜の 向こうにいる誰かの気配とか、歩くたびかさかさいうかんじや、別の展示の、足元がやけにふわつく作り
全部どこか落ち着かなくて、見ながらずっとざわざわした感覚があった
4月
春の江戸絵画まつり 与謝蕪村 「ぎこちない」を芸術にした画家(府中市美術館)
- 解説でもふれられていた通り、どこかぎこちない線やかたち でもそのぎこちなさやずれがあるから、特有のおかしみが生まれるのかなと思う
取り繕わないで描かれるものは見ているだけで楽しい
- 解説が本当に親しみやすく読みやすいもので、これだけ最初から最後までずっと楽しく読めたのは初めてかもしれない 面白かった!
- スタンプを押して作る屏風やクイズラリー、カフェのコラボメニューもすてき
- ぎこちなさ、ずれ、おかしみ、ってずっと好きで 読むもの見るものからよく拾い上げてはいいなあと思っている
自分が作るものにも入れ込みたい要素だから まあそれはすきだな…と帰る道道考えていた
Romeo and Juliet ―ロミオとジュリエット―(東京グローブ座)4/10 12:30
- 喜劇と悲劇って表裏一体で 周りから見るとどうしてこんなことに…と思っても、当人たちは懸命に生きているだけなんだと思う
- 台詞回しが長く小難しくなりそうなのにそうならず、音楽のように聴こえて好きだった
- ロミオとジュリエットも、彼らの周囲も、やることなすこと悪手にしかならず、あと少し何かが違えば、と思うところがかなりある
でも生きてると案外そんなものなのかも 先のことって本当にはわからなくて 登場人物も憎めない、仕方ないなあって思えてしまう いかにも人間らしいというか
- 若い2人を引き裂く運命といえば悲劇と思うけど、ただ可哀相なだけではないというか、本人や周りは一生懸命にやっているし、大真面目
その結果、熱がこもりすぎてかえって喜劇的になる、おかしみが出てしまう、ということがあるな と思いながら観ていた
- ちょっとのことでぐらぐらしてしまうロミオに対して、ジュリエットは比較的肝がすわっていて、こうと決めたらやり抜く強さがある
ふたりで生きられないなら死のう、じゃなくて、ふたりで生きるためなら何でもする、というような
ふたりで手を繋ぐとき、ジュリエットの手のひらが上に来るのが好きだった
イケメンヴァンパイア 偉人たちと恋の誘惑 THE STAGE~ Episode.1 ~(シアター1010)4/24 17:30
- 恋愛要素はまったくなく普通にずっと戦っていたので戸惑った
- 創作に関わる人間にグサッと来る台詞が多かった(いつになったら新作を書くんだ、前に書いたものを越えられないことが怖くて書くことから逃げているんじゃないか、など)のでつらかった
- 配信に切り替わるぎりぎりのところで観に行ったため、松崎さんの挨拶と、この後にWEBで更新された日記が印象に残っている
5月
iruka 個展 君のいない部屋は色のない世界(喫茶ランドリー)
- 喫茶店での展示 詳細を知らずにお店へ行ったので後から調べたら、テーマとお店の雰囲気がしっくり合っていて更に驚いた
どことなくさみしい、手に入らないとわかっているからこその愛おしさ、があるなあと思う
- お店を「恋人との別れを後悔している男の人の部屋」に見立てて、「大切なものは失ってから気づく」をテーマに作ったもの という展示
イラストの雰囲気、人物の表情、ただずまいも 展示の、ポラロイドが吊ってあるかんじも 本当にはなくしたくなかったもの、がそこに詰まっている気がして好きだった
MUCHA グラフィック・バラエティ(うらわ美術館 ギャラリーABC)
- 雑誌の表紙や挿絵、商品パッケージのイラストにフォーカスが当たっていたのが新鮮
「装飾資料集」全ページ公開、壁一面に並べられていて圧巻だった
- ミュシャの作品展は今までにも何回か見たけど、ここまでしっかり雑誌類やパッケージ関係を見たことはなかった気がした
ほんとに幅広く仕事をしていたんだなと思うし、絵を描くこと・デザインすることが生活と切り離されていない、強く繋がっているかんじが好きだなと感じた
- 作品の撮影について、基本的には不可だけれど、今回に関しては、コロナ禍での美術展開催、会場に足を運べない人も多いだろうから…というような説明書きがあって おもしろい試みだな〜と思う
どれをいちばんのお気に入りにするかって考えるのも楽しかった
ADAM at meets BLUE NOTE TOKYO 5/25 2nd SHOW(BLUE NOTE TOKYO)5/25 19:30
- ライブに行くのが1年以上ぶりで 音が鳴るたび直に揺さぶられる感覚も、めまぐるしく変わるライトの明滅も、周りの息をのむ気配も、ライブ前後のさざめきも 何より目の前に、同じ空間に、めいっぱい音楽を、自分が持っているものを届けようとしてくれるひとがいる ということ
この感覚があるから ライブに、舞台に、生のものを観に行くんだよなって 頭がぐらぐらするくらい強く思って うまく言葉にならないけど 本当にめちゃくちゃうれしかった
- 毎日毎日訳わかんないこととかめちゃくちゃあるし もうやだなって結構ずっと思ってる
でもそういうどうにもならないものを取っ払って とにかくこの時間のために、この音と光を感じるために、何くそと思ってどうにかこうにか日々やってんだよなって ライブに行くとほんとに思い出す
流星セブン~暁の操り人~(渋谷区文化総合センター 大和田さくらホール)5/30 11:00
- お芝居、歌、ダンス、立ち回り、なんでもありで、時代劇エンターテイメントってこういうことか〜ってなった
観てる間ずーっと楽しかった!舞台ほんとすきだな、観られてうれしいなって思う
- 何も難しいこと考えず、純粋に楽しい!おもしろい!わくわくする!って思っていられる2時間って、ほんとにめちゃくちゃぜいたくで、そういう機会がもてるのはありがたいなあと思う
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滝沢歌舞伎ZERO 2021(配信)5/9
toconoma JAPAN TOUR "VISTA" 2020-2021 @Tokyo TSUTAYA O-EAST 5/15
ADAM at「Inst-gram Live Vol.6」〜Day.1〜 5/3
ADAM at「Inst-gram Live Vol.7」〜Day.2〜 5/4
ADAM at「Inst-gram Live Vol.8」〜Day.3〜 5/5
ADAM at「Inst-gram Live Vol.9」5/23
6月
アイノとアルヴァ 二人のアアルト(世田谷美術館)
- 機能性とデザインのやわらかさが共存していてとても好きだった
どれもそばに長く置いておきたいと感じるつくりで、暮らしの視点が置き去りにされていないからこそかなと思う
実際に住んで、使ってみたくなるものばかり
- 展示会風景の再現だったり、実際に家具を配置してある展示も多くて楽しかった
模型とか図面もたっぷり 専門的なところはわからないけど単純にかたちや線がきれいでじーっと眺めてしまう
驚異の三人!! 高松次郎・若林奮・李禹煥(同上)
- 三人の中だと若林奮がいちばん印象に残った
色味が淡く、遠目だとうすく絵の具を塗ったように見えたものが、実際は数層刷り重ねられていて、案外発色が鮮やかだったりした
- 世田谷美術館、たぶん初めて行ったのだけど、建物のつくりがおもしろくて、それだけでかなり楽しかった
一階の展示室が少し凸凹してるというかちょっと変則的な配置
二階の展示室は広々して印象がまた違う
あと窓が所々にあって光が入るのもよかった
新・晴れた日 篠山紀信(東京都写真美術館)
- 写真の持つ熱量、現実の風景・人物の力、に圧倒される
ただ、たしかに実際のもので、そこにある/あった存在なのに、どことなく虚構めいて感じられることがあるのは、写真という一枚のフィルタ越しの風景だからなのか
- めちゃくちゃしっかりした作品解説冊子がもらえたので読みつつ見た+展示室の外で流されていたインタビュー映像(45分ある)もなんだかんだ全部見たので、情報量がちょっと多くて若干処理落ちしてる
篠山紀信の写真展、行くたびにクラクラして出てくる気がする
ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展(東京オペラシティアートギャラリー)
- 4階→3階と展示が移るのだけど、ガラッと印象が変わる 今まで経験したことのないタイプの展示だった はじめ行こうか悩んでいたけど駆け込みで間に合ってよかった
- ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展 4階「色を想像する」
白黒で構成された作品が多く、そのもの、の色を想像したり、白黒で表現されたものが、光の加減でわずかに違った色に見えたりするのが新鮮だった
作品と作品名・作者名が完全に切り離されているのもおもしろい
- ライアン・ガンダーが選ぶ収蔵品展 3階「ストーリーはいつも不完全……」
鑑賞者が懐中電灯で作品を照らしながら見ていく構成 作品を照らし出す工程を挟むこと・全体を一度に見ることが難しいことで、なにが描かれているか考える・自分でどこを見るか選ぶ感覚が強くなった
project N 82 松田麗香 MATSUDA Reika(同上)
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ADAM at INST-ALL Streaming Live Vol.2 6/17
~村上信五と初サシで生トーク!~「Johnny’s Village #3」6/25
7月
日食なつこワンマンライブ「白亜」(ヒューリックホール東京)7/2 19:00
坂崎千春展「室町花鳥園」(日本橋三越本店 本館7階 催物会場)
- 線も色もシンプルであっさりしているのに、ずーっと眺めていても飽きない
花札の色鮮やかさと図案の楽しさ ほかの絵だと「ペンギンのABC」とか「進むのを待っている」が好きだった
hedge 1-2-3 trust(あうるすぽっと)7/10 18:30
hedge 1-2-3 trust(同上)7/16 18:30
hedge 1-2-3 hedge/insider(同上)7/17 12:30
- 内容が少し難しいかなと思っていたのだけど、ぐっと引き込まれてしまった
めちゃくちゃおもしろかったし、自分のこととして観て考えられた
- 誰か・何かを信じること、自分や周りを取り巻くものを正しく見ること、その過程でやりきれなくなったり情けなくなったりしても目を逸らさずに考え続けること
今の自分はどうだ、ちゃんと出来ているか、とか考えながら観ていた
あと生演奏の迫力 音のよさ と思ってひどくクラクラした
- 難しい言葉もユーモラスに解説されるから楽しんで観られる
ずしんとくる内容もあるけれど、歌や踊りもあって緩急のバランスが心地よい
個人的には一企業の会社員である自分を重ね合わせつつも観た
- 働く・生きることって当たり前にあって、ルーティンになっているけれど、ただそれだけじゃなくて、いかによりよいものを目指すか、を考えないといけない
みっともなくても足掻くこと、みっともなくなるくらいがむしゃらに自分を投げ込めるものがあるか
- 言葉で雁字搦めにされたり、ちくちく刺されたりを、こんなに感じることもそうない
どこで間違ったのか、何が正しかったのかを明かすことはおそらく一生できない
べったりと黒くて重たいものが奥底に塗りつけられ、それを負っていくしかない
- 都合上trustを先に観ていたからまだ というか 一度すべてを失って、何も信じられなくなったところから、それでもやっぱり信じたいと思うことだったり、自分の中の善いところ、損なわれていないところ、があると願うことを諦めないでいられるけど そうでなかったらと思うと どうにも苦しいな…
- hedge/insider、trustと、どれも観ながらぐっと胸が詰まって泣いていたのは、職業や状況は違っても、働くこと、生きていくこと、という点でわたしも登場人物たちと同じで、どうにもならない中で、それでも進んでいくほかない、自分なり他者なりを信じてゆくほかない、と思ったからかもしれない
映画 ハニーレモンソーダ
- 物語にときめき要素がたくさん散りばめられてるから、というのもあるとは思うけど(エンドロールまでずっとかわいくてすごかった)
何より登場人物たちがみんなまっすぐで一生懸命だからこれだけまぶしいんだろうな、とか みんないい子だし全員しあわせになってほしい…ていうきもち
リボルバー ~誰が【ゴッホ】を撃ち抜いたんだ?~(PARCO劇場)7/23 13:00
- 安田さんの演じる、正気と狂気の間を揺れ動くゴッホ、観ているだけでこちらが消耗した
ゴッホとゴーギャンも、ゴッホとテオも、強い繋がりを持っているけれど、おそらくは一緒にいることが毒になってしまう
- 何かを形にしないとおかしくなりそうな感覚や、自分の作るものを認めてほしいという感情でめちゃくちゃになって、でもやめられなくて、というゴッホの姿は観ていてかなりきつかった
何かが違えばもっと上手く創作と生活を立ち行かせられたのか でもそうしたらきっとゴッホのあの絵は生まれていない
- やすくんが舞台に立っているのを観るのは俺節以来だと思うんだけど なんというか、持てるすべての力を注いでそこに立っているのをひしひしと感じる
そういう姿を見られることの喜びもありながら 全身を包む鬼気迫るようなものに少しだけ怖くなる
SHOW BOY(シアタークリエ)7/24 12:30
- 一生懸命にやってはいても報われないことってあって、でも生きて、とにかくやるしかないって足掻く登場人物たちが愛おしい
- 上手くいかなくて、でもやるしかなくて、めちゃくちゃな状況でもとにかく進む、どうにかしていく、悲観するのではなくて図太く笑い飛ばしてく、そういう明るさとか強さ
こういう状況下ではあるのだけど、やっぱりエンタメがあってよかったと感じるし、なくならないでほしい、と強く思う
- ただまあこう感じたのは今ここで観たからなのかなとも思う
たとえばこういう状況になる前だったらよりシンプルに、すごい!おもしろい!で終わりだったかも
もちろんすごいって思うのは今も一緒なんだけど、エンタメとかそういうものに引きつけて考えてしまうのは今特有のものかもな〜とか
イサム・ノグチ 発見の道(東京都美術館)
- しずか、というのが初めから終わりまでずっとあった印象 無駄のないかたち、華美なところのない色
- 作品リストを見つつ、どれがどれだろう…と思ってふらふらしていたら作品名のプレートにイラストも付いていた めちゃくちゃ助かる
Walls & Bridges 世界にふれる、世界を生きる Walls & Bridges ― Touching the World, Living the World(同上)
- 交わることのない5人の作家はそれでもどことなく通じ合っているように見えた
皆自分の見たものや感じたものを、いつかはなくなっていくものを、焼きつけていたかったのかな、と思う 知らないはずの記憶や風景がどうしてか懐かしい
8月
映画 ベルヴィル・ランデヴー
- 画面の色味と音楽がほんとに好き!
- 話は思っていた以上にブラックな笑いというか公式サイトのテンションで見に行くと若干びっくりする
あとほんとにおばあちゃんが最強
江戸の天気(太田記念美術館)
- 今まで絵の天気に注目したことがなかったけどまとめて見ると面白い
どの天気を描くかも違うし、同じ雨でも切り取り方は変わってくるし 見ていてぜんぜん飽きなかった!
- あと見ながらこれ好きだな、と思う絵が大抵川瀬巴水なことに気がついた
UNDERSTUDY(池袋芸術劇場シアターウエスト)8/21 17:00
映画 白蛇:縁起
- 映像が本当にきれい!すっと世界観に引き込まれて観た 白も宣もまっすぐで強いなあと思う
何かを信じるのってものすごく力がいることだと思うけど、大切なもののために、自分がそうしたいからするんだ、というのが伝わってきて、ぐっと胸が詰まった
- やっぱり何にしても信じることとか 向き合うことっていうのがすきなんだな〜と思う
宣はでもすごかったな あんまりないくらい強いなと思った
ものすごく達観してるというか 人を信じるのってそもそも自分を信じられてないと難しいようにも思うんだけど ほんとに軸がしっかりあるんだろうな
特別展「川瀬巴水-版画で旅する日本の風景-」(大田区立郷土博物館)
- 気になっていた川瀬巴水 特に青のかんじが好きだな〜と思う
温度が低いというか、あっさりして、時々さみしいような印象があるところも
- 写生帖と並べて展示してある作品が多く、見比べられて楽しかった
- 写生帖の絵がまたよくて 鉛筆であっさり書いてあって、線がまだ整いきってないようなかんじなんだけど、完成したものとはまた違うよさがある
版画になることで整えられる線なり表現の揺らぎがあるのかな
写生帖にそのまま色をつけているものも結構あって、それもかなり好きだった
- 吉田博展を見たときにも思ったけど見れば見るだけそもそもの絵がはちゃめちゃに上手いんだよな…ていうそりゃそうだみたいなところに着地してしまう あと彫りと刷りの力がかなりあるよね…
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ADAM at「Inst-gram Live Vol.12」8/28
9月
没後20年 まるごと馬場のぼる展 描いた つくった 楽しんだ ニャゴ!(練馬区立美術館)
- 絵本と漫画、スケッチもたくさんあったけど、どれもとぼけた雰囲気がある
かんたんに描いているように見えるんだけど、シンプルな線できっちり対象を表現するの、ほんとにすごい
- 「11ぴきのねこ」の校正原稿がすごかった ラフスケッチもめちゃくちゃおもしろい!
作品の作られる過程がじっくり見られるのとてもいい
- そのほか見た中だと特に「ころっけらいおん」「ウサギ汁大作戦」「たらふくまんま」が好きだった
- 馬場のぼるさんの描くものには 対象を見る目のやさしさ おおらかさ がある
ほんとにひとを傷つけないユーモア、笑いっていいな…と思う くすっと笑えて、でもちょっと切なくなるようなかんじもして
10月
現代日本画「WABI/SABI」展(郷さくら美術館)
- どれもしんとした気配と揺らがない美しさがあるなあと思う
- 見た中だと特に、吉田舟汪「神象 那智」、二川和之「湖畔静夜」が好き
- 同時開催の「桜百景展 vol.25」では粂原愛「つぎて咲くべく」が印象的だった
Snow Man LIVE TOUR 2021 Mania 神奈川公演(横浜アリーナ)10/9 18:00・10/10 12:30
- ツアーにとてもありがたいことに行けて 彼らの姿を見られてうれしくて 笑いたいのに泣きたくってすごく困った
- ステージの上に立つ深澤さんがほんとうに好きだ、このひとの、このひとであるところから、ぱちんとスイッチを入れるみたいに、いくつもの世界にあっけなく染まって、でもまた何事もなかったかのように戻ってくるところが好きだってずーっと思ってた
- 本人がほんとにとってもやわらかくって、さらさら流れていくようなのに、だからなのか、どんな曲にも雰囲気にもあっさり馴染んでいくかんじ でもふとしたときに覗く芯みたいなものはたしかにそのひとでしかない…
- すののツアー、ほんとに有観客でやれてよかったなあと強く感じた
目の前にお客さんがいて、ペンライトの光が揺れていて、って、今までなら当たり前だった光景を、デビューから一年越しにはなったけど、彼らがようやっと見られてよかった
- hashi-716.hatenablog.com
川瀬巴水 旅と郷愁の風景(SOMPO美術館)
- 川瀬巴水の、風景の切り取り方や色味が好き
雨や日暮れ、夜の場面で、全体は薄暗いのにきちんと光の加減がわかるかんじとか
- 今年ほんと何回見るんだってくらい見てる川瀬巴水
今日あらためて見てて、雨でまわりがぼやけて見えるかんじとか、夕方や夜の辺り一帯がぜんぶ彩度が下がって見えるかんじ、の表現がほんとに大好きだな〜と思った
なんでああやってそのまま表現できるんだろう
HOPE 2020- 変わらない日常と明日への言葉(新宿 北村写真機店 6F Space Lucida)
- 白黒フィルムのしんとした雰囲気と でもまったく冷たくなくて、手ざわりが分かるかんじが好き
2020年からこちら、今このとき、の写真を見られてよかった
- ハービー・山口さんの写真 なんてことない風景に見えるのだけど、写っているひとの熱や感情がたしかに分かって、見ているとじんわりきもちが緩む やさしい写真だなあと思う
- あと「夜のポートレイト」も とてもすてきだった 見られてうれしい!
ハービーさんの前回もそうだったのだけど、展示作品のなかにAERAカメラレッスンのときの写真が入っていて 展示を見ていくと不意にその作品に出くわすからほんとにびっくりするしめちゃくちゃうれしくなる
春風外伝2021(新国立劇場 中劇場)10/23 12:00
- めちゃくちゃ賑やか!歌もダンスもコントも何でもあり!
- 終盤、物語や演劇、さらには生きていくことを楽しみ喜ぶ力の強さを真正面からぶつけられたかんじがした
2時間半弱があっという間で、見終わると元気になっているふしぎ
- あと最後のところ 演者と観客の関わり合いというかお互いのありかたみたいなものがこういう状況だからか余計にぐっと来た
舞台に人がいること/観客席に人がいること 演者も観客もお互いを見ていて、どちらが欠けてもだめなんだなあと思う
挨拶のところで石坂勇さんが話されてたこともとてもよかった
- 舞台やライブやいろんなイベントやいわゆる娯楽と呼ばれるものは不要不急であるのか、と去年から何度も考えているけど
やっぱりわたしは娯楽がないとつらいし 娯楽に助けられてどうにかやって来られているんだなあと思った
- 物語の中で語られたような、平坦で安定した世界はたしかに平等で影もないかもしれないけど 好きなものが何もかもなくなっていたら何の意味もないなあと思う
こういう状況なので感染予防対策であるとか気を配らないといけないのはもちろんなんだけど 根っこのところでというか…
ADAM at Daylight Release Tour 2021-2022(F.A.D YOKOHAMA)10/23 18:00
- ほんっと〜〜〜に最初から最後まで楽しかった!!!
- 音がもうほんとめちゃくちゃ体に響いてずーっと踊ってた 全身びりびり震えてるのがわかった
周りの人も玉田さんたちもみんな楽しんでるのが伝わってきて こういう空間がほんとに好きだなと思った
日食なつこ ドリップ・アンチ・フリーズ Tour(渋谷 CHELSEA HOTEL)10/25 19:00
すこたん!(中野ザ・ポケット)10/30 14:00
- 相手をわかりたくて、うまくいかずに傷つけて、それでも一緒にいたくて、どうにか手を繋ごうとするのって、好きな人が誰でも変わらないよなって思いながら観ていた
- 35年連れ添って来られたおふたりと、その周りのひとたちのお話がゆるやかに絡み合いながら進んでいくのだけど 皆たくさん悩んだり戸惑ったり、相手との関係を築いていくのもほんとにもどかしいくらいで でも実際生きてるとそうだよなと思う
- 相手と向き合って、何かをわかろうとする、伝えようとする、相手を傷付けたことがわかる、うまく噛み合わなくてもどかしい…とか そういう感覚って普段の生活の中にもあって
それがひとりひとりの言葉から、表情から、仕草からわかって、ちょっと苦しいくらいで すごく好きだと思った
- 社会的な現状だとか その中で出来上がってしまった自分の中の偏った見方だとか そういうことも(至らないところだらけだけど)考えられて そうやって考えていくことはやめないでいたいなと感じた
今このタイミングで「すこたん!」を見られたのはすごくよかったと思う
- あとほんと 本当にはわかりあうのって難しいのかもしれないと思ってて、でもわかろうとするのはやめたくなくて、苦しいこともあるのはわかっているけど、どうにか一緒にいようとするひとたちが好きなんだよなって 前にも書いたかもだけど何度目か実感した
- 相手をわかりたいと思ったり傷ついたりするの、好きな人が誰でもって書いたんだけど 好きな人、恋愛的な意味で好きになる人が特にいなくても同じだよな〜と今になってまた気付く
erath garden"秋"代々木公園(代々木公園 イベント広場)10/30
- 配信でしか見たことのなかったtoconomaをようやっと生で見られて、本当にうれしかった
- ステージの眩さと、あちこちに落ちる影と、が、まばたきするごとに変わっていって、ひとつも同じものは残らないのとか 曲とか、周りの音とか、近くのひとの気配とか そのときにしかないもの そういうのがほんとうに好き
11月
BORN 2 DIE(よみうり大手町ホール)11/6 19:00
- 相次ぐ不条理にどう収拾つけるのかなと思っていたらがっつりひっくり返すかんじで終わったので個人的には好きなテイストだった
最後持っていかれてぞっとする しかしふぉ〜ゆ〜の皆さんはほんと何でもできる…
- こういう役柄を自分の好きな人がやったらほんとのほんとにうれしくて泣くな…と思いながら観ていた
翻弄されてどうにもならなくてでも足掻いてだけど、みたいなやつ…
- ほんと最後の ステージの真ん中でライトがぱっと当たってうっすらと笑うの 手が届かないところに行っちゃってこの人はもう戻ってこれない、みたいなの だいすきだな〜って
- 最後のあたりの どうにもならない、もう止まれない、流れに身を任せるしかない…みたいなある種の虚脱状態はマシーン日記を観たときにも似ていた
山口旅行:周南市立美術博物館・徳山動物園・別府弁天池・秋吉洞・秋吉台
ゴッホ展─響きあう魂 ヘレーネとフィンセント(東京都美術館)
- ゴッホの素描をこんなに見たことがなかったので、新鮮だったし楽しかった
これまでわたしは一部限られた部分だけ見ていたんだなあと感じる
年代を追って様々な絵を観られるので充実感があった
- 素描かっこよかったしめちゃ当たり前なんだけど絵が上手いな…てなった
ゴッホは特にあとのほうに描かれた絵の、色や筆致の強さ、鮮やかさに意識が向きがちだったんだけど、そもそも対象の捉えかたがはっきりしているんだな〜という風に感じた
- 描きたいって気持ちだとか 何かを表現したいって衝動を うまくかたちにできて、それが周りから見てもわかりやすくて、って人もいるけど そこがどうにもアンバランスだったんだろうなあと思った
でも今ここで見て、ぐっと引き込まれる色や線があるっていうのは、やっぱりものすごく特別だと感じる
KANJANI' S Re:LIVE 8BEAT(横浜アリーナ)11/27 18:00・11/28 12:00
12月
川島小鳥 x 仲野太賀 / (世界)² (ユトレヒト)
- 川島小鳥さんの写真を見ると、その場の温度や雰囲気、対象の手ざわりに直接ふれたように思うことがある そこにいる気配が濃いのかな
- 意識せずに流れていってしまうような生活の一部をふっと覗いたかんじがして好きだった
語りの複数性(東京都渋谷公園通りギャラリー)
- 映像作品の「聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと」が特に印象的
ふたりの対話が少しずつ揺らいで、はじめに認識していたものから変わっていく感覚
25分半って長いかなと思ったけどあっという間、見られてよかった
- 見える/聞こえる者同士で同じ対象を前にしたとしても、それをどう見る/聞くかは異なっている
相手が伝えようとすることをそのまま受け取ることは絶対に出来なくて、どうしたって揺らぐしぶれる でもそこを埋めようと近付く、わかろうとすることは出来る とか 考えながら見た
- 芸術でも普段の対話でも、生活の中にある光や音でも、感じ取るものの意味をどう取るかは、あくまで個々の中にしかない
そもそもの対象がどんな意図を持っていた(持っていない)かも、他の人がどう受け取るかも、完璧にわかることはない
その不確かさと それでも分かろうとすること、の表現
- おそらくは正しい理解なんてひとつもなくて それでもわかろうとすること わからない、と知りながらも、わかる部分を探っていくこと わかりたいと思い続けること に惹かれるんだろうなあと思う
タクフェス第9弾「天国」(サンシャイン劇場)12/11 17:30
- 当たり前にある 変わらずにいる と信じていたすべてが、本当にはそうじゃなくって、かんたんにどこかへ行ってしまうんだって、その状態になって初めて気付く
失うことは痛いし出来るなら経験したくないけど でも出会わなければよかったとは思わない
- 舞台というものも、当たり前にあると思っていて、続いていくと信じていた、というところでは同じで 今ここでこうして舞台を見られていることがどれほど特別かと改めて感じる
今年はずっとそういうことを感じ続けていたから、このタイミングでこれを見られてよかったなあと思う
- 何てことない日常の明るさと、ちょっとのさみしさと、が愛おしくって まったく大げさじゃなく、本当に当たり前みたいに渡されるやわらかい気持ちを、受け取っていいのか戸惑って、大切に抱き込んで、っていう龍太郎や 彼を見ている皆の視線や、一緒にいる空気、が本当に好きだった
- 原くんの ぐっと込み上げる喜び、表現しきれないようなうれしさ、があると うつむいて、顔を伏せて堪えてしまうようなのに ありあまるほどの悲しみを抱いて、泣くのを堪えながら、涙を溢さないように、ぐっと顔を上げて、つとめて笑ってみせようとする という表現が好きだな〜と思う
- タクフェス行くの初めてだったんだけど本当に楽しかった!!
難しいことを考えずにとにかく楽しく笑えた あと舞台ってほんとに生のものだな〜と強く感じた
目の前に演者がいることもそうだし 演者と観客とが交わるというか、相互に作用し合っていくものだなあと思うことが多かった
日食なつこ ドリップ・アンチ・フリーズ Tour(横浜 1000CLUB)12/18 18:00
ENTA!4(Zepp DiverCity TOKYO)12/19 17:00
- ENTA初めてだったんだけど、ふぉ〜ゆ〜ってほんとになんでも出来るしめちゃくちゃすごいな………という気持ちでいっぱいになる2時間だった
なんかよくわかんないけどすごい…語彙…
- ふぉ〜ゆ〜だと松崎さんがいちばん好きだと思うんだけど、なんというかやっぱりちょっと訳わかんなくてこっちの気持ちがめちゃくちゃになるタイプの人なんだよな…てなってる
fox capture plan 10th Anniversary Live Day 2 -XRONICLE-(日本橋三井ホール)12/23 18:00
- fox capture planの曲を聴いていると、格好いいなあと思うのと同じくらい、無性に泣きたくなるような、落ち着かないきもちになることがある
その感覚に近いものが何かあったはず、と考えていて今日ようやっとピンときたのが、日曜日の夜の、出かけた先から帰る途中、車の中にいるときのきもちだった
- 小さいころ家族で日曜夜にご飯を食べに車で出かけたとき 出かけること自体は楽しいんだけど、帰りの車の中でふっと、このあと家に着いたらお風呂に入って明日の用意をして眠らないと、って我にかえってしまう瞬間があって そのときのやるせないようなどうにもならないような気分
- 何かが終わってしまうのがこわい とか、今ここがとても好きだからこのまま留めておきたい(でもそれはどうしたって叶わないのを知っている)とか そういうままならなさ
イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜(三菱一号館美術館)
- 印象派は前から好き モネの「睡蓮」を見れたのがうれしかった
今回見て特に好きだなと思ったのはレッサー・ユリィだった 「夜のポツダム広場」の雨にけぶる街の表現 じっと見入ってしまった
夏の夜の夢(東京芸術劇場 シアターイースト)12/25 16:00
WBB vol.19「ウエスタンモード」(こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ)12/26 13:00
- ちょっとした勘違いからものすごいところまで話が転がっていくのが楽しい
コメディとアクションと、グッとくるところもあって、年内最後に明るく笑えてよかった!